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俺たち刑務官は、受刑者の監督のため、各地に分散して勤務している。ちなみに俺は、一人で”きょうせい公園・刑務官駐在所”に勤務しており、管轄面積は故郷の県とほぼ同じだ。
駐在所管内に居住している受刑者は一人もいない。たまに、この星で一番大きい公園である”きょうせい公園”に、遊びに来る受刑者と会える程度だ。
駐在所に戻ると、すぐに、報告書と証拠となる撮影データーを、刑務本部のメインコンピューターに、インターネットで送付した。本部判断だが、園山と熊本、それぞれから、事情聴取をするだろう。
あの二人には、ペナルティーとして、休みの日に、きょうせい公園で植林をしたり、花壇の手入れをして欲しい。
そんなことを考えながら運転している。玄関に赤いライトが視界の隅に留まる。
取材所の車庫に車をバックで入れた。駐在所の隣は、政府が作った百台は駐車可能な、コインパーキングだが、利用者が少なく、照明は落としてある。
二年間、コインパーキングに車が止まっていることは、一度もない。駐在所に入りながら、独り言ちる。
「無駄な投資だったんだな」
今日の勤務時間は終了した。
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