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熊本さん、園山さんが、俺を拝むように頭を下げていた。
「まあ、すぐに帰宅しなかったことは、大目に見ましょう。そうです約五百光年離れてます。地球に住んでる妻から、冷凍で送られてきた団子あるので、一緒にお月見しましょうか」
「佐藤さん、良いんですか?」
「どうぞ! おふたりとも、遠慮なくどうぞ」
駐在所の前に、俺がベンチを出す。日曜大工で作ったモノだ。地球の妻から、宇宙貨物船の冷凍便で送られてきた団子が冷凍庫にある。
山本さんは、刑務本部でひとりで夜勤をしている。今頃、通信指令室の窓辺で、夜風に頬を撫でられているだろう。
ふたりのGPS発信機の位置を知ってたら、何かしらの対応をするはずだ。無線で呼び出して、わざわざ許可を求めるのも野暮だ。
熊本さんと園山さんを、奥から出したベンチに座らせる。
俺が、駐在所内の電子レンジで温めなおせば、ほかほかの、みたらし団子の完成だ。醤油の香りが、鼻をくすぐる。
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