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寄り添う二人から、一席分スペースを空けて俺が腰を下ろす。園山さんが頬を、両手で挟みながら、俺に首を巡らす。熊本さんは団子を頬張り、お話できない様子だ。
「佐藤さん、わたしたち、あと一か月で、刑期を終えて、地球に戻るんです」
「え? 良いですねー」
「そして、地球に戻ったら、結婚式を挙げちゃいまーす」
「おめでとうございます」
「わたしたち、地球に戻る前に、地球でできないこと、したくなったんです」
「さっきのこと、気持ちは分かりますよ。地球では空気ボンベなしで、公園でデートなど、できないですものね」
三人で月明かりの下、団子を食べながら、地球の思い出話をしていた。
きょうせい星は、刑務官の家族を含めて、一般人は原則として、出入り禁止だ。星を見ながら、妻と子どもの顔が脳裏を掠める。多くの流れ星が、星空を横切っていた。
かつては、地球上に多数の刑務所があった。しかし、ワープ航法の一般化により、他の恒星系に人類は簡単に、行けるようになった。
大半の受刑者は、このきょうせい星のような、刑務所専用惑星に収容される。地球の刑務所は激減した。
きょうせい星は、軽微な法律違反の受刑者が多く、再犯率は著しく低い。
本来は、自然環境の破壊が進んだ地球からの移住者向け惑星として開発された。地球政府が、莫大な時間と費用をかけて、開発された惑星だ。しかし、地球の自然環境の破壊がどんなに進んでも、移住希望者が少なかった。結局、刑務所専用惑星“きょうせい星”になった。
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