四文字の虹色

4/12
6人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ
 先生には、奥さんがいた。  私が先生を好きになり、ただ一度とはいえ結ばれたのが「不倫」に当たることに、否定の余地はない。  お互いの不倫が理由で離婚した両親にして、この子ありと言われれば、弁解のしようもない。  キラキラネームをつけるような、まともじゃない親の子供がやはりまともではないというのも、あながち間違いではないのかもしれない。  名前を名乗るだけで向けられる、蔑みの視線を何十回と受ける中で、この名前が嫌いだった頃の気持ちが蘇ってきた。  面接会場の近くにあったデパートに入り、レストランで遅い昼食をとる。  携帯が鳴り、メールを見ると、さっき受けたばかりの面接の結果通知が来ていた。今回もまた、「ご縁がなかった」らしい。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!