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受付には、おばさんともおばあさんともつかない年齢の女性が三人いた。
派手なネックレスをした一人が、「よろしければご案内いたしますね」と言ってついてきた。サロンの中はがらんとしている。受付もよほど暇だったのだろう。
「こちらは小学生の部の作品なんですよ」
案内役を買って出たおばさんは、見ればそうとわかる一画を、重そうな指輪をつけた手で示した。
半紙に書かれた、「手紙」「絵はがき」「母の便り」などの文字たち。
『ガキの字はでかけりゃいいとか、そういう考え方は、俺は大っ嫌いだ』
先生の言葉を思い出し、思わず小さく笑ってしまう。
おばさんは、私が笑ったのを別の意味に解釈したらしく、
「元気のいい作品でしょう」
と微笑みかけてきた。
私はあいまいにうなずき、別のコーナーに目を移した。
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