ドリームロボット

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  「ちゃんとご飯食べてなかったでしょ」 「そう、だったかも知れません……」 「睡眠欲と食欲に難有りの医者なんて洒落にならないよ」 「性欲だけはふつうに有るのが不思議ですね……」 「それは種の生存本能だ。キミは昔から、緩慢な自殺願望者だから」  そうか。  ロボット化願望は先生からはそう見えるのか。 『愛されたい』と焦がれるのは『生きたい』の裏返しに他ならないだろうに。 「先生は精神科医を目指してたのに挫折されたんですよね」 「うん……二十七の時だ」 「その挫折の致命的且つ決定的理由が解りました」 「それは是非とも教えて欲しい」 「ただただ向いてないです」  医者の見立て違いも洒落にならない。  ポツポツと落ちて来るブドウ糖の点滴を見詰めながら、妙に可笑しくて笑った。
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