ドリームロボット

　
「目を開けたままキスする癖、治らないねー」
「キスは目を閉じてするものと言う概念は映画やドラマによる刷り込みです」
「おじさんの顔はどアップに耐えられないよー」
「僕も三十八です。おじさんです」
「カイトくんは十八才の頃から少しも変わらないよ？ロボットみたいに年を取らない」

　目を開けた世界の僕と山縣(やまがた) 東(あづま)先生はただのおじさん同士だ。
　東鷹学院大医学部に斗真(とうま)と一緒に入学した頃はこの人もまだ二十代だったのに、お互いいつの間にかこんなトシになっていた。
　中年の同性カップルは何をどうやっても侘しさがつき纏うものだと思う。

「長宗我部くんの結婚式、ご招待は内々だけみたいだけどキミも出席するの？」
「過去三回とも出席しましたし、四回目だからと言って行かないのも障りがありそうなので出席します」
「やっと本命との幼馴染み婚が実現した事だし、彼も落ち着くかなー」
「そうでないと困ります」
「だねー」