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僕の回路に細工をしたのは先生だ。
だけど大切な螺子を落っことしたまま縫合したのは僕だ。
叶わない想いに何重も蓋をして。ぐるぐる巻きに縛り上げ、歪な傷口に縫い合わせた。
斗真
斗真
一人だけで恋を叶えるのは狡い。
たった一つの本物の恋を四度目の正直で勝ち取るなんて。
樹里亜以外なら平気だった。
叶わない初恋を引き摺る斗真を見ていると安心した。
僕らは同じ切っても切れない関係の中で藻掻くしかないと思っていた。
メビウスの輪っかの上で迷子になっている斗真が愛しかった。
僕をこんな意地悪で卑屈な生きものにしたのは誰だ。
─────………僕だ。
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