一夜明けて

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一夜明けて

…長、社長! 呼ばれた声で我に返る ここは重役が揃った会議室 ただ今 新しいプロジェクトに向けて プレゼンテーションの 真っ最中である 昨日、俺が見つけた女… 遥と名乗る地味な女に纏われていた 見たことのない淫靡なオーラ 普段は「見る」ことしかできないが それが ねっとりと俺に絡みついてきた それが初めて見えたのは 祖父が亡くなる前 やけにくすぶった靄のようなものが 祖父の身体に纏わりついていた じいちゃん? 貴久 わしはもうすぐ ばあちゃんのところに行かなならん あとは頼んだぞ それから程なくして祖父は亡くなった 大きな持病もなく 寝たまま静かに息を引き取ったらしい 親族は 死んだばあちゃんが 迎えに来たんじゃないかと話していたが あながち嘘ではない じいちゃんが逢いに行ったのだ それまでスピリチュアルな事には 全く興味はなかったが まさに百聞は一見に如かず 周りを取り巻く環境が見えるおかげで 会社を ここまで大きくする事ができた
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