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カリンはヤナギをはじめてみたときかっこいいと言った
暗がりのヤナギは不思議に思った
ひょろりとした体躯にざらざらの肌、不気味に枝垂れた手、どこをみてそんなことを言うのだろう
ヤナギはカリンをみて綺麗だとつぶやいた
淡い光がカリンの滑らかな体を転がっていった
少し赤みのある頬とまだらに色づいた肌は美しかった
カリンは自分の肌を嫌ったが、ヤナギの心はそれに奪われた
カリンは光に背を向けて暗がりのヤナギを見つめた
自らの影が重なって、ヤナギの根本は暗く顔の輪郭もよくわからなかった
それでもヤナギがカリンを見つめていることは明らかだった
カリンは短い手を闇に向かって広げた
カリンの延ばした影をヤナギは少しずつ進んで行った
怖ろしく長い腕はおそるおそるカリンの手に伸びていった
ヤナギの手をカリンは静かに受け止めた
ヤナギは自分の乾いた手がカリンを傷つけないか心配だった
それでもカリンの柔く温かみのある手を放すことができなかった
ヤナギの手は震えていたし、いつまでも止まらなかった
カリンはついに笑い出した
ヤナギもつられて少し笑った
「次はなにをするの」「次はどうしたらいい」
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