1.危険地帯

1/1
前へ
/8ページ
次へ

1.危険地帯

◯街・道路    バスが走ってる。    バスの前方窓に〔紫苑女子高校ダンス部様〕の紙が貼ってある。    乗っているのは、友梨香たち生徒40人と、    新庄先生、運転手、バスガイドの白崎麻耶。    ダンス部の合宿地に向かっている。(生徒は制服姿)    麻耶、笑顔で色々と生徒たちに説明している。 麻耶「ダンス部の皆様~     合宿地の近くに観光名所になってる海が有りますよ。     行ってみたらいかがでしょうか~?」    ほとんどの生徒は麻耶の話を聞いてる様子もなく、    ワイワイ騒いでる。友梨香と渚は隣同士。 渚「ねえ、合宿地の近くに海あるって。着いたら行ってみる?」 友梨香「うん……」    顎を手で支えて、窓の外を見ている友梨香。上の空。 渚「あのバスガイドさんメッチャ美人じゃない?」 友梨香「うん……」    顎を手で支えて、窓の外を見ている友梨香。上の空。    ちゃんと聞いてない感じだが、渚は気にしてる様子無し。 ◯サービスエリア・外観    ダンス部のバスが止まっている。    生徒たち、サービスエリアで楽しそうにしている。 ◯サービスエリア・外観    友梨香と渚、ベンチでハンバーガーを食べている。 渚「それ美味しそう~私もエッグチーズバーガーにすれば良かった」    友梨香、あげないよという感じで食べる角度を変える。    そして食べる友梨香。    渚、それを見て「チェッ」という表情。 ◯サービスエリア・外観    人気のない場所。    麻耶、先程の笑顔と違いダルそうな表情。    肘に手を当てて組んでいる。    壁に寄りかかってタバコを吸っている。    麻耶、顔を上に向け煙を吐き出す。 ◯山道の道路    自衛隊のトラックが止まっている。    藤井、拳銃を構えている。(自衛隊の服装)    菅原翔太(22)と他自衛官3人も拳銃を構えている。    人が何人か倒れている。 ◯山道の道路    ダンス部のバスが走っている。    友梨香、寝ている。 ◯山道の道路・バスの中    生徒A「あれ、事故?」    前方に車やバスが止まっている。複数の人間も倒れている。 運転手「何だこれは?」    驚く運転手。    麻耶、不安げな顔。    バス、速度を落とす。    大勢のゾンビ、奇声をあげながらバスに向かってくる!    生徒たち「何あれ!!」「怖い!!」    大声を出して驚く生徒たち。    バス運転手、慌ててアクセルを踏みバスの速度を上げる。    ゾンビ、目の前にくる。 運転手「うわっ!」       運転手、ハンドルを慌てて切る。 ◯山道の道路       バス、止まっている車に激しく激突する。    バス、衝撃を受ける。 ◯山道の道路・バスの中    生徒が何人か倒れている。    友梨香と渚は無事。    無事な生徒は自分のバッグを持って、バスを出ようとしている。 渚「私たちも出よう!」 友梨香「うん」    友梨香と渚、ドア前で倒れてる麻耶を見る。 友梨香「お姉さん、大丈夫ですか!?」    友梨香、麻耶を起こす。    麻耶、目を見開いて口から血を出してる(頭を打って死んだ)    隣で運転手も倒れてる。 友梨香「ダメ!死んでる」    友梨香と渚、諦めてバスを降りる。 ◯山道の道路    友梨香ら生徒たち、バスから出る。    大勢のゾンビ、小走りで生徒に迫ってくる。    生徒たち「きゃああああ~~!!!」    逃げる生徒たち。    何人かの生徒たちはゾンビに襲われる。    新庄先生も逃げ遅れゾンビに襲われる。    友梨香と渚にも危険が迫る。    自衛隊のトラックが2台来る。藤井らが乗っている。    藤井、菅原、他自衛官たち、トラックから降りて、    拳銃でゾンビを撃ちまくる。 藤井「トラックに乗れ!」    藤井、生徒たちに支持する。    友梨香ら生徒たち、トラックに乗り込む。    藤井たち自衛官もトラックに戻る。    トラック、発進する。 ◯山道の道路・トラックの中    走る自衛隊のトラック。    藤井、菅原、友梨香たち生徒が乗っている。 藤井「クソッ!この辺はウイルスがかなり広まってる!」 菅原「どうしますか!?」 友梨香「ここからすぐのとこに合宿場所がある!」    藤井に訴える友梨香。 藤井「……よし、そこに行こう!」 ◯山道の道路    走る自衛隊のトラック。    合宿先の建物が見えてくる(4階建て・外観は綺麗) 友梨香「あそこ!」 藤井「行くぞ!」    建物の前にも複数のゾンビがいる。 ◯建物前の広場       自衛官と生徒たち、トラックから降りる。    大勢のゾンビ、襲ってくる。    自衛官たち、拳銃で応戦する。 菅原「ここは任せてください!先に行ってください!早く!!」 藤井「頼むぞ菅原!お前たち来い!!」    藤井、友梨香ら生徒たちを建物へ誘導する。    (藤井は武器が入っている大きなバッグを担いでいる) ◯建物前の広場    菅原ら自衛官たち、銃で応戦するも大勢のゾンビに襲われる。 菅原「うわあああ~~!!!」    (菅原と他自衛官たち・死) ◯建物・ドア前    藤井、建物のドアを開けようとするが戸惑う。    ゾンビたちが近付いてくる。 樹里「来るよ!!」 藤井「クソッ」    藤井、ドアを開けるのを一旦止めて、自分の携帯電話を出す。    大音量の目覚ましを鳴らして、その携帯電話を、    離れた場所に投げる。    ゾンビたち、音の鳴っている携帯電話に反応して、    そっちの方向に進む。 藤井「よし、今のうちだ」    藤井、ドアを拳銃で撃って壊す。ドアを開ける藤井。 藤井「入るぞ!」    藤井と友梨香ら生徒たち、建物の中に入る。 ◯建物・ドア前    藤井が投げた携帯電話をゾンビが持つ。    携帯電話の大音量の目覚まし音が止まる。 ◯建物内    藤井と友梨香ら生徒たち、上の階に上がって逃げる。    大勢のゾンビたちも建物の中に入ってくる。    (全体的にゾンビたちの歩く速度はそれほど速くない) ◯建物内・防火扉前    藤井、防火扉を閉めようとする。    足の速いゾンビ、何人か入ってこようとする。    藤井、焦る。 樹里「早く!」    ギリギリで間に合い扉閉まる。    藤井と友梨香ら生徒たち、なんとか難を逃れ一息つく。    泣いている生徒もいる。 ◯建物内・防火扉前    藤井、友梨香ら生徒がいる。(生徒は26人になっている) 樹里「ちょっと!なんなんですか!あれ!?     新庄先生も、他の子もいっぱい死んじゃったんですよ!!」    藤井に詰め寄る樹里。    藤井、フッーと息を付き遠くを見る。    藤井に注目する生徒たち。 藤井「よし、いいだろう、全て話そう。よく聞け。     俺は陸上自衛隊の藤井だ。     あの化け物たちはウイルスによるものだ。     3ヶ月前に突如、発生した。     原因は分からん。その時は少数だった。     しばらくは何もなかったが、     今日また報告を受けてここに来た。     この辺は想像を絶する早さでウイルスが広まってるようだ」 未沙「あれゾンビ?元は人間なんでしょ?」 藤井「そうだな、ゾンビみたいなもんだな。     だが肉を喰らうというよりは人の血を啜ってる。     噛み付きはするがな。感染は体液を介して発生する。     血を吸われると、その者もあんな風に化け物になる。     奴らは新鮮な血を好む。化け物の体液が多く混ざると、     血を啜るのを止める。つまり、     化け物の仲間になった途端に奴らは興味をなくすんだ。     そして次のターゲットを探す。     まるで化け物の仲間をドンドン増やすかのように」 理佐子「そんな……」 藤井「感染する早さは個人差にもよるが、早い奴はあっという間だ。     遅いデータで5日というのもある。     どうやら傷が深いほど早く感染するみたいだな」 渚「怖い……」 藤井「化け物たちの中には強い者や弱い者、     足が速い者や遅い者がいる。身体能力に差があるんだ。     基本的には動きは遅い。音にかなり敏感だ。     獲物を見つけると大勢の仲間に知らせる習性もあるようだ」 京乃「まんまゾンビじゃん」 早織「本当だよ」 奈月「マジかよ」    信じられないという表情で怯える生徒たち。 友梨香「死に方教えて」    藤井、友梨香を見る。生徒たちも友梨香を見る。 友梨香「噛まれたらどうしたらいいの?      誰だってあんな化け物になりたくない」    静まり返る生徒たち。 藤井「……人間と一緒だ。頭を、脳を破壊すれば奴らも完全に死ぬ。     噛まれたら自分でそうするんだな」    黙りながら藤井を見る友梨香。 藤井「まあいい。お前たち、携帯電話持ってるか?」 理佐子「先生にバスで没収されちゃいました。      バスガイドさんの話を全然聞かないから怒っちゃって」    藤井、呆れた顔をする。 藤井「とりあえず、この建物の中を確認する。何があるか見たい」 樹里「私も行く。理佐子も来て」 理佐子「うん」    藤井、樹里、理佐子がその場から離れる。 ◯建物内    友梨香ら生徒たちがいる。 渚「ヤバイことになったね……」 友梨香「……」    周りでは生徒たちがみんな深刻な表情。 生徒B「お母さん……(泣く)」 生徒C「(泣きながら)嫌だこんなの……」    泣いてる生徒の肩に手をかけてる生徒もいる。    ◯建物内・ミーティング部屋(夜)    ホワイトボード・机・椅子がある。教室のような部屋。    藤井、友梨香ら生徒たちがいる。 藤井「建物の中を見てきた。やはり電話は繋がらん。     テレビも駄目だな」 理佐子「新庄先生が映さないようにしたのかも……」 藤井「……水は大丈夫だ。電気やガスも。     食糧もしばらくは大丈夫だろう。     部屋もたくさんあるな。なかなか完備されてる。     お前たち、こんないい所に泊まるつもりだったのか?     お嬢様学校なのか?」 奈月「私達、紫苑女子高です」    自慢げに言う奈月。 京乃「ダンス部なんです、私達。     全国大会準優勝の実績ありますけど知りません?」 藤井「俺が知るはずないだろ」    奈月と京乃、ちょっとムッとする。 藤井「まあいい。率直に話すぞ。     今とんでもない状態に置かれてるのは間違いない。     事態が終息して助けが来るまでここで待つしかない。     それでまで皆の協力が必要だ。ハッキリ言うぞ。     俺はお前たちを甘やかすことはしない。     厳しく接するつもりだ。皆の命が掛かってるからな。     助けが来るまでは俺の指示に従ってもらう。     個人で勝手な行動は絶対起こすなよ」    生徒たち、黙る。 藤井「(呆れた顔で)どうした?返事をしろ」 生徒たち「はい……」    生徒を見渡す藤井。 ◯建物内・友梨香の部屋(夜)    友梨香と渚、ベッドに座っている。 渚「少し休めた?」 友梨香「うん、だいぶ落ち着いた」 渚「どうなっちゃうんだろう私達……    ここでずっと生活するのかな?」 友梨香「……やるしかないよ」 渚「強いね、友梨香」 友梨香「別に……強がってるだけ」 渚「がんばろうね……」 友梨香「うん」 
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加