2.選択

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◯建物内・ミーティング部屋(朝)    藤井、友梨香ら生徒たちがいる。 藤井「この中で武器を持ちたい奴はいるか?」    静まる生徒たち。 藤井「何が起こるか分からない。俺1人で対処できない事もある。     一緒に戦う奴が必要な時がくるかもしれない。     銃の使い方を何人かに教えたい。     だが生半可な気持ちじゃ駄目だぞ。     銃を持つ以上は持ってない者も守ってもらう。     どうだ、いるか?」    友梨香、手を挙げる。 渚「えっ!ちょっ友梨香?」    隣にいる渚、驚く。 樹里「私も」    樹里も手を挙げる。 理佐子「私もやります。副キャプテンなので」    それに釣られるようにアスナ、未沙、瑞葉も手を挙げる。 藤井「よし、いいだろう。6人だな」   藤井、手を挙げてる6人を見渡す。 藤井「この6人以外には今後、銃の扱い方を教える気はない。     残りの者は雑務に徹しろ、いいな」 6人以外の生徒「はい……」    藤井、理佐子を見る。 藤井「お前……」 理佐子「渡部です」 藤井「渡部、副キャプテンと言ったな。     まとめ役はお前がやれ。いいな?」 理佐子「はい、分かりました」    樹里、理佐子を少し複雑な表情で見る。 藤井「まあ、今すぐ教えるという訳にはいかんけどな。     まずは俺が決まり事を考える。     それをお前たちに実施してもらう。     それが安定して出来るようになってからだ」    生徒たち、藤井を真剣な表情で見ている。 ◯建物内・廊下    瑞葉と生徒3人、廊下にある長椅子に座っている。 生徒D「ねえ、噛まれてゾンビになったらどうする?」 生徒E「怖いよね……」 生徒F「そうなったら人間の感覚なくなるのかなあ?」 瑞葉「……」 生徒D「瑞葉は強いから大丈夫だよね?」    瑞葉、苦笑いしながら軽く首を横に振る。 生徒F「いざとなったら瑞葉に守ってもらおうよ」    話を続ける瑞葉と生徒3人。 ◯建物内・有美の部屋(夜)    有美と生徒2人がいる。 生徒G「有美は真っ先にやられるタイプだよね?」 有美「ええ~?」 生徒H「ああ、確かに有美は無理だわ」    有美、困った顔をしている。 生徒G「まっゾンビに出くわしたらせいぜい逃げまくることだね」 有美「うん、そうする」       話を続ける有美と生徒2人。 ◯建物内・ミーティング部屋(朝)    生徒たちが何人かいる。    ホワイトボードの隣の掲示板に藤井が作成した、    決まり事の紙が大きく貼ってある。 ◯建物内・藤井の部屋の前(朝)    藤井と理佐子がいる。 理佐子「これがみんなの部屋割りです」    理佐子、藤井に紙を渡す。 藤井「ああ、分かった、見とく」 理佐子「お願いします」    藤井「建物を見回るときだが、銃を持ってる者が1人いた方がいいな」 理佐子「ああ、なるほど。その方がいいかもしれませんね」 藤井「メンバー構成は考えとくよ。訓練の後にでも発表する」 理佐子「はい、分かりました。それじゃ」    理佐子、その場を立ち去ろうとする。 藤井「何か問題あったらすぐ報告しろよ」    藤井、歩き始めた理佐子に声をかける。    理佐子、振り返って「はい」と返事をしながら頷く。 ◯建物・屋上    友梨香と渚、会話しながらキャッチボールしている。    2人とも左手には野球グローブ。 渚「明日からだって?銃の訓練」 友梨香「うん」 渚「本当に大丈夫?銃なんか持って。やれるの?」 友梨香「分かんない」 渚「責任持てよ~」 友梨香「うるさいな」 渚「ねえ、ちゃんと私のこと守ってよ」 友梨香「分かったよ(苦笑)」    2人、キャッチボールを続ける。 ◯建物・屋上    藤井、腕を組んでいる。    友梨香、樹里、理佐子、アスナ、未沙、瑞葉が、    拳銃を撃つ訓練をしている。    藤井、6人に拳銃の指導をしている。    藤井、友梨香に近づいて後ろに立つ。    友梨香、拳銃を構いている。    藤井、友梨香の手を支える。 藤井「しっかり持て、呼吸を整えろ、集中しろ、    ……よしっ、引き金を引け」    友梨香、弾を撃つ。    目標の手作り人型板の頭に当たる。    藤井、訓練をしている6人を見守る。 ◯建物内・食糧がある部屋    渚と他生徒が水・食糧の仕分けをしている。    分量をノートに記入してる子もいる。    掃除をしている子や物を運んでいる子もいる。    奈月、京乃、早織は3人で何か話している。 ◯建物内・ミーティング部屋(朝)    藤井、友梨香ら生徒たちがいる。    ホワイトボードには文字が色々と書いてある。    藤井、生徒たちに建物の特徴を説明している。 藤井「以上までで何か質問はあるか?」    有美、手を挙げる。 有美「先生っ、あっ!間違っちゃった……」    少し笑いが起きる。 生徒I「なに先生って~(笑)」 生徒J「アホだからな~有美は」    恥ずかしそうにしてる有美。 未沙「私も先生って呼ぼうかなー」    未沙、冗談っぽく言う。 生徒K「呼びたい人は、そう呼べば?」 理佐子「藤井さん、いいんですか?」 藤井「(呆れた顔)やめてくれ」 京乃「先生って結婚してるんですかー?」    京乃、おちゃらけた感じで言う。 藤井「そんな質問も受けなきゃいけないのか?」 奈月「どうなの?」 藤井「今は1人だ」 早織「離婚したってこと?可哀想~」 藤井「くだらん話はここまでだ。続けるぞ」    藤井、ホワイトボードに目を向けまた説明を始める。 ◯建物内・友梨香の部屋(夜)    友梨香、部屋のカレンダーをじっと見る。    過ぎた日に「✕」が付けてある。    友梨香、窓に目を向ける。 ◯建物内・ミーティング部屋(朝)    生徒たちがいる。    樹里、大声で生徒たちに支持を出している。 樹里「ほらっみんなテキパキ動いて!命が掛かってんだよ!     あんたはこれ持ってて!」    その支持を受けて動き出す生徒たち。    樹里が恐いのか、アタフタしている生徒もいる。    アスナ、椅子に座りながら樹里を不満そうに見ている。 アスナ「ねえ、思ったんだけど、      何でいつもあんたが仕切ってんの?」    樹里、アスナを見る。 樹里「は?キャプテンの架純が死んじゃったんだよ!     理佐子だけじゃ大変と思って私がサポートしてんの!     文句あんの?」    樹里、アスナに近づく。 アスナ「誰も認めてないから」 樹里「じゃあ、あんたに出来んの?誰かできるの?     リーダーシップ取れんの!?」 アスナ「出しゃばっててウザいんだけど」    樹里、顔つきが変わる。    樹里、腰回りに付けてあるウエストバッグから拳銃を取り出す。    樹里、アスナの額に銃口を突きつける。 樹里「なめんなよガキ」    周りの生徒たち、凍り付く。    アスナ、全然怯むことなく樹里を睨み返す。 アスナ「撃てるもんなら撃ってみろよ」    2人、睨み合う。    理佐子、樹里の拳銃を手で抑える。 理佐子「もういいでしょ、樹里」    藤井、ミーティング部屋に入ってくる。 藤井「何をやっている」 理佐子「何も。大丈夫です」 藤井「だったら早く席につけ」    生徒がそれぞれに席につく。    樹里、不満そうな顔で席につく。    アスナも不満顔。 ◯建物・屋上    友梨香、樹里、理佐子、アスナ、未沙、瑞葉が、    拳銃を撃つ訓練をしている。    藤井、樹里に小銃の撃ち方を教えている。       アスナと未沙、狙撃ライフルを持っている。 未沙「アスナ凄いね。樹里さんにたて付くなんて」    未沙、ライフルを構えながら隣のアスナに言う。 アスナ「別に……」 未沙「前から仲悪かったもんね」 アスナ「まあね」 未沙「いや、でも凄いよ。出来ない出来ない」 アスナ「なんか粋がってたからイラついちゃった」 未沙「まあ、こんな状況だし殺気だっちゃうのは仕方ないかもね。     不安なんだよ、樹里さんも」 アスナ「……」 未沙「アスナを本気で撃つ気なんてないよ。     ちょっと脅しただけでしょ」 アスナ「分かってるよ」    アスナ、ライフルを撃つ。     建物前の広場にいるゾンビに当たる。 未沙「アスナ上手いよねーセンスあるわ~どうやるの?」 アスナ「あんた手首に力入りすぎ。      緊張するのは分かるけど握り過ぎない方がいいよ」 未沙「なるほどね~」 アスナ「しっかりやってよね。      パートナー組まされた私の責任にもなるんだから」 未沙「分かってるって。絶対上手くなるから」    アスナと未沙、訓練を続ける。 ◯建物内・広い部屋(夕)    樹里と理佐子、窓の外を見ながら話している。 理佐子「でも、あのゾンビたちも以前は人間だったんだよね……     会話したり、笑ったり、普通に生活してたんだよね……」 樹里「そうだね」 理佐子「信じられない、とても。あんな化け物になるなんて……」 樹里「……」    窓の外のゾンビを見る樹里。 理佐子「私は嫌だな、あんな姿になりたくない……」 樹里「それは、私だってそうだよ」 理佐子「哀しいよね……」 樹里「でも、いざ闘う時がきたら、そんな気持ち捨てなきゃダメだよ」 理佐子「うん……それは大丈夫……だと思う」 樹里「本当?やらなきゃ自分が死ぬだけだよ……     いや死なせてもくれないのか……」 理佐子「……」 樹里「ところで、みんな素直に言うこと聞いてる?問題ない?」 理佐子「うん、大丈夫。みんな協力的だよ。      さすがにみんな事の重大さを分かってるし」 樹里「そう、それなら良いけどさ。     言いにくい子がいたら私に言いなよ。     バシッと言ってやるから」 理佐子「うん……(苦笑)ありがとう。でも、なるべく自分で言うね。      樹里に頼ってばかりじゃ恥ずかしいもん」 樹里「そう?じゃあヨロシクね。まっ理佐子は人望あるから大丈夫か」 理佐子「そうでもないよ」 樹里「私に1番無いものだ(笑)」 理佐子「樹里の気性の荒さは天下一品だからね(笑)」 樹里「あっ言ったな~(笑)」 理佐子「冗談だよ(笑)」 樹里「気を付けるって~」    2人で笑う。 樹里「頑張れよ、新キャプテン」    そう言って、理佐子の肩を軽く叩く樹里。 理佐子「OK」    微笑みながら、ピースサインする理佐子。 ◯建物・屋上(曇り)    生徒たちの洗濯物が干してある。    雨が降り出す。大雨になる。    友梨香、渚、他4人の生徒が慌てて洗濯物を取りにくる。    渚、洗濯物を取り込んで戻ろうとするが友梨香に気付く。    友梨香、顔を上に向けて大雨を見ている。 渚「友梨香!何やってんの!濡れるよ!」    他生徒も友梨香を見る。 友梨香「うわあああああ~~~!!!!」    友梨香、大雨に向かって突然叫ぶ。    渚と他生徒、唖然と友梨香を見る。    友梨香、それでも続ける。    渚、クスッと笑って友梨香に近づく。    渚、友梨香と一緒に同じように大雨に向かって叫ぶ。    他生徒も釣られたように2人に近づく。    全員で叫ぶ(何もかも忘れたいかのように)    叫んだ後に全員で笑いながら顔を擦り寄せ抱き合う。
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