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ある犬の話、仲間の犬とこんな会話をした
「鏡は何色だと思う?」
「銀色じゃないか」
「いやいや、あれは鏡色だよ」
「鏡色??? じゃあその鏡色って、何色に近いんだよ?」
「そうだなぁ、しいて言えば虹色かな。ちょっと、銀色がっかた」
「それじゃあ、鏡に写ったオレはその、鏡色してるのか?」
「そうだよ」
「じゃあ、オレはいままで、白毛の犬だと思っていたが、本当は鏡毛の犬だったのか?」
「ちがうよ、お前は白毛だよ」
「何でだよ。 鏡に写ったオレが鏡色なら、オレは鏡色じゃないか。 もっと言えばお前だって鏡色になるだろ」
「だから、鏡の中のお前は鏡色だけど、お前は白いよ」
「そうか、そりゃそうだよな、 ここにいるオレと、鏡の中にいるオレは別の犬だもんな」
「そうだぞ、だから鏡の中のお前が、もし肉をくわえていたら、 それはお前の肉じゃなくて、鏡の中のお前の肉だから、その肉は欲しがらないことだ」
「当たり前じゃないか。オレだってそんな、鏡色をした肉なんて欲しくないよ」
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