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月次郎は正直、途中からどうにも意識せずに居れなかった。
人前でしかもあんな格好で。
男同士でもそんな気持ちになれるものなんだなあと自分でも驚いた。
月次郎のソレはそり返ってしまっていて、如何にもこうにも辛い。
着物を羽織り慌てて厠へと向かうが、背後から正吾に声を掛けられた。
「月次郎」
ビクッとして月次郎は振り返る。
振り返った瞬間に、正吾が腕を取り横の部屋へと月次郎の身体を投げた。
「いった…な、何を…!」
「お前さん、こんなんになっちまって」
仰向けになった月次郎の着物越しに明らかに膨張したソレを見ながら、正吾が薄ら笑う。
視線の元が分かった月次郎は、真っ赤になり思わず手で隠す。
「…ッ、仕方ないですよ、自然現象だし」
「ソレ、辛いだろ」
月次郎の話など聞かず、正吾は体を近づけて裾からのぞいていたそっと右手でソレに触れる。
「…楽にしてやらあ」
向かい合う形となった正吾が呟く。
「な、何言って…!!」
握っていた右手をゆっくりと上下へと扱きはじめる。
その動きが段々と早くなって行き、月次郎は抗えなくなっていく。
「や、やめ…ろっ…あ…」
他人に触れられたことなど無い月太郎には刺激が強すぎた。
切ない息遣いになってゆく月太郎を見ながら、正吾は思わず喉を鳴らす。
髪を結わえていた紐はとうに外れ、乱れた髪が悩ましい。何より声と仕草が、女よりもソソる。
不意に正吾は、自分の着物から自身を取り出す。
そして扱く手を緩めることなく耳元で月次郎に囁やいた。
「オレのも触ってくれよ…、もうたまんねぇ」
強すぎる刺激にボンヤリとしてきた月次郎は正吾のソレを手に取り同じ様に扱く。
向かい合いながら息を弾ませるふたり。
ふと月次郎は正吾の首筋に3つ黒子があるのを見つけた。
その黒子をそっと撫でようとした時に正吾が顔をのぞきこんできた。
「お前の、目ん玉、色が違うんだな」
まじまじと顔を見ながら正吾は呟く。
真っ黒な瞳と茶色い瞳。
トロンとなって潤んだ瞳は訴える。
「あ…、しょうごにいさ…っ、もう…」
「オレも…っ」
一足早く月次郎が声を上げて果てる。
「ああッッ!」
一緒遅れて正吾も果てた。
**
翌日、月次郎が仕事場に入ると正吾が先に居て身支度をしていた。
あれから月次郎は部屋を飛び出し、そのまま長屋へと帰った。一言も正吾と話すことなく。
されてしまった羞恥としてしまった羞恥。
無言で正吾の後ろを通り過ごそうとした時、正吾が口を開いた。
「気にすんな、よくあることサ」
カァッと体が一瞬熱くなる。
「他のやつとも、やってるんですか」
「一緒にはねぇけどな。少し手伝って見届けるだけさ」
目を合わさずに笑いながら答える正吾。
(オレだけじゃ無いのか)
月次郎の胸がチクリと
痛んだ。
「師匠、当分は春画描がないだろうよ。次に出すのはかなり後だ」
さア仕事だと背伸びをする正吾。
「…そうですね」
月次郎は精一杯の声で、答えた。
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