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「兄さんは…何を考えてるの……」
二菜は自分の兄が狂気染みた計画を立てていたことに怒りと悲しみを滲ませた。
「とにかく今はオレたちにできるベストを尽くすんだ!じゃないとあの人が言ってたみたいにこの町が壊れちまう!」
「そうだな…正義のヒーローを演じるのは嫌いじゃないぜ?それに、俺は竜平からコイツを託されたんだ。」
蓮は持ってきていたアタッシュケースを開いた。そこに入っていたのはレイドメモリーと呼ばれる今後実装されるパワーアップアイテムだった。
「ちょっと…蓮くん、いつの間にこんなものを?」
「ここまで派手でクレイジーな依頼を受けたんだ、やるからにはもちろんクレイジーかつ全力尽くそうぜ…でないともったいねぇだろ?」
「これ……私のメモリーだ。」
二菜は水色のレイドメモリーを手に取った。そのメモリーには〈Shoot〉と書かれていた。
「そっか…二菜は昔レイドプレイヤーだったから…」
「皆に言っておくね…これを使うときは気を付けてね。私には無害だけど、皆が使うとそれだけで体力を使っちゃうから。」
二菜はレイドメモリーがもたらすものについて分かりやすく説明した。
「へっ、今さら何言ってんだよ…こんなもん回数重ねりゃどうにかなるさ。何せ俺たちはできねぇもんがないからよ!」
「でも、説明してくれてありがとう、にーな!」
「よし……やろう!まずは町でレイドバトルに参加しつつ、探りを入れよう!そこから始めよう!」
「「「おーーっ!」」」
『私も精一杯サポートしますね!』
―放課後、体育館西部室―
『へへっ、我慢なんかできないに決まってるじゃん…早速始めよっと!』
とあるバスケ部の少年の目の前に、レイドプレイヤー08・ルーエルが現れた。その手には何やら怪しいギアが握られていた。
『ねぇ、キミ?ボクの姿が見えてなくてもいい…力が欲しくないかい?とっても強くなれちゃう力!』
「力は欲しいに決まってるじゃないか!俺は誰にも負けたくない!もう弱いなんてバカにされたくねぇよ!」
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