オマケの後日談

3/3
29人が本棚に入れています
本棚に追加
/32ページ
 全て諦めて、発泡スチロールの『お土産』を片付ける。  ウチで食べられる分を片付けても、発泡スチロール4箱。冷凍庫と冷蔵庫に頑張ってもらっても、それが限界。  ウチの冷蔵庫は、ほんとによく出来た子だわ。  お互いの友人へ電話しまくり、届けに行ったり取りに来てもらったり。  土産取りに来いって言って、取りに来させる晃陽さん。そういうのって世間一般では『俺様』って言うんじゃないかな?  2日かかって、ようやく全てのお土産片付けて。発泡スチロールを業者に渡して。  狭かった部屋が元通りになった所で。  発泡スチロールに隠れて見えなかった1つの小さな小さな紙袋。 「なんだこれ」って中を見たら・・・。  小さいキーホルダー。  どこで見つけたのか、今はもう無くなったはずの北海道の定番お土産だった『愛国行き』の切符の形の。たった2つのキーホルダー。  お互いに贈りあったけど、お揃いの物って無かった。だってどれもピンと来なかったから。服だってお互いに似合う物が違う。アクセサリーは好きじゃない。服が違えば身に付ける小物も違う。  唯一、ペアリングだけが2人の繋がりみたいで。  小さいけど、多分そんなに高い物じゃないけど。  蟹とかイクラとか。毬藻の大群より。  こんな小さいキーホルダーが1番嬉しい。 「また泣く」  何年経っても泣き虫だなって後ろから抱きしめてくれる、俺の一番大切な人。  晃陽さんに寄りかかって「これが一番嬉しい」って顔をあげる。 「ただいま」って何度もキスをして「遅くなってごめん」って。「誕生日おめでとう」ってくれたもう1つの大きな紙袋。  振り向いてありがとうって抱きついて、たくさんのキス。  って、だから!  ムード台無し!!!  触った感触が柔らかかったから、ぬいぐるみだとは思ったさ。思ったけども!  キタキツネとか、エゾリスとかじゃなくて  なんで「メロン熊」!!!!  こわいから!本気でこわいから!!  返してこい!!!!!
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!