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全て諦めて、発泡スチロールの『お土産』を片付ける。
ウチで食べられる分を片付けても、発泡スチロール4箱。冷凍庫と冷蔵庫に頑張ってもらっても、それが限界。
ウチの冷蔵庫は、ほんとによく出来た子だわ。
お互いの友人へ電話しまくり、届けに行ったり取りに来てもらったり。
土産取りに来いって言って、取りに来させる晃陽さん。そういうのって世間一般では『俺様』って言うんじゃないかな?
2日かかって、ようやく全てのお土産片付けて。発泡スチロールを業者に渡して。
狭かった部屋が元通りになった所で。
発泡スチロールに隠れて見えなかった1つの小さな小さな紙袋。
「なんだこれ」って中を見たら・・・。
小さいキーホルダー。
どこで見つけたのか、今はもう無くなったはずの北海道の定番お土産だった『愛国行き』の切符の形の。たった2つのキーホルダー。
お互いに贈りあったけど、お揃いの物って無かった。だってどれもピンと来なかったから。服だってお互いに似合う物が違う。アクセサリーは好きじゃない。服が違えば身に付ける小物も違う。
唯一、ペアリングだけが2人の繋がりみたいで。
小さいけど、多分そんなに高い物じゃないけど。
蟹とかイクラとか。毬藻の大群より。
こんな小さいキーホルダーが1番嬉しい。
「また泣く」
何年経っても泣き虫だなって後ろから抱きしめてくれる、俺の一番大切な人。
晃陽さんに寄りかかって「これが一番嬉しい」って顔をあげる。
「ただいま」って何度もキスをして「遅くなってごめん」って。「誕生日おめでとう」ってくれたもう1つの大きな紙袋。
振り向いてありがとうって抱きついて、たくさんのキス。
って、だから!
ムード台無し!!!
触った感触が柔らかかったから、ぬいぐるみだとは思ったさ。思ったけども!
キタキツネとか、エゾリスとかじゃなくて
なんで「メロン熊」!!!!
こわいから!本気でこわいから!!
返してこい!!!!!
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