AMOROUS LETTER

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  「オレのせいでッ」  風呂上がりなんておいしいシチュエーション、一緒に暮らす家族でもないのに遭遇できて光栄です、と胸の中で絶叫しながら、朝から続いた騒ぎを反芻して口を開いた。 「こんな騒ぎに、なっただろう? 昨日オレがノート持って帰ればこんな騒ぎにならなかったんじゃないかって思うと…アレ書いたヤツに、なんだか、申し訳なくってさ」  一番良くない行いをしたのは、航基の机の中からノートを持ち出し黒板に貼り出した奴である。  そんなことをしなければ航基と和馬、それからラブレターを贈った誰かだけの秘密として事は片づいたはずなのだ。  それなのに、航基は持ち前の人の良さから、見知らぬ誰かに贈られた思いを受け入れられず置き去りにしてしまったせいで事件へと発展してしまったことを悔い、どうにかせずにはいられない心境になってしまったようだった。 「謝んなきゃ、なんない気がして…って、その顔。 バカだと思ってるだろ?」 「いや…中村はお人好しだな、と思って」 「…」 「そうむくれるなって。 人探し、手伝うから。――な…?」 .
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