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「だけど…賽は投げられた、ってとこか」
「へっ?」
「二人が陰に含み、闇から闇へと葬ろうとした告白文は、今、白日の元に曝された。 遅かれ早かれ、奴らはまた騒ぎ出すかもしれない」
どこか装飾の多いセリフを吐く大輝の顔が真剣なために、指された航基たちは笑うこともできずその言葉に耳を傾ける。
「今はまだ衝撃が薄いからこの程度で引き下がったが、『いつか』が来た時、今度はもっと食らいついてくるかもしれない。…その時どうするかは、中村たちの判断次第でどうとでもなるだろうから…覚悟しておくんだな」
ぴたり、と心臓を大輝に指差された航基はごくりと喉を鳴らして唾を飲み込み――…
「やっぱコレ書いたヤツ、探そうと思う」
と、騒動が終日続いた余韻を引きずったまま帰った寮の部屋で、航基の様子を心配してやって来た和馬に対し、そう宣言した。
「どうして」
部活終わりに飯を喰らい、風呂から上がったばかりのいい匂いを漂わせる和馬に擦り寄りたくなる気持ちをぐっと堪えた航基は、始めとは違うことを言い出した自分を不思議そうな目をして見つめてくる瞳から逃げるように視線を逸らし、赤面した。
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