AMOROUS LETTER

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   期待と不安を長く抱いていたのだと感じさせる航基の握り拳を両手で暖めるように包んでいると、ゆっくりとその顔が上がり、優しい笑みを浮かべた和馬の瞳と正面から向かい合う。  ――…澄んだ眼差しに映るのは、お互いの姿だけ。 「…」  語る言葉も無くし、お互いを想う気持ちに吸い寄せられるように近づいた二人の唇が重なると、一瞬世界は二人だけのものになった。 「…帰ろうか」  啄むようなキスのあと、名残惜しそうに離れたがらない唇の傍で囁くと、照れて赤くなった顔を見られまいと視線を逸らした航基が、和馬の言葉にこくりと頷く。  言葉にしなくとも想う気持ちを伝え合えた幸せに航基を抱きしめたくなった和馬が指を伸ばすと、思いもかけず強い力で腕を取られ、目を丸くした。 「見ろよ、雪だ!」  辺りはすでに夜となり、自分たち以外に人の気配がない闇夜の中…ちらりちらりと白いものが窓辺を滑り行くのが見えた。  雪が降る地方で生活しているのだから特別珍しいものでもないだろうに、と思うものの、今季初の雪に瞳を輝かせるその肩に腕を回して抱き寄せた和馬は、落ち着いたトーンを冷えた空気に刻んだ。 .
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