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―――三杉大輝。
航基のクラスメートにして学校一の秀才と言われる随一の注目株で、そんな男が騒ぎに割って入ってきたことで、一瞬にしてざわめきが静まっていた。
「そうやって囃し立てるのは、どうかと思うけど?」
「だけど…三杉ぃ~」
「男同士でラブレターだぜぇ~?」
「気にすんなって方がムリだろーよォ」
そうだそうだと頷き合うクラスメートたちの視線を集めた大輝は組んでいた腕を解くと、黒板に貼り出されていたノートを引き千切るようにして磁石から剥がした。
その途端、誰からともなく
「あ~あ」
という声が上がり、大輝は航基たちを取り囲む連中に鋭い眼差しを向け、震え上がらせた。
「ガキの性分引きずって、人の恋路を笑うやつはオレの前に並べ。…片っ端から蹴飛ばして、ゴールネットを揺らしてやる」
大輝はサッカー部のホープで、プロからスカウトされるほどの実力者だ。
それほどの力で蹴られたりすればどうなるかなど…大輝にその威力を語られなくても末を想像できた連中は尻込むと、
「すいやせんでしたぁ~」
と言って、航基たちを遠巻きにしながら去って行った。
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