はじまりは糸が絡まったように。

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ただ、頭痛がするだけ。 頭の中で何かが暴れ回っているような、脳が割れるような痛さが、彼氏と別れた頃からずっと続いている。 それでも会社は休めない私は、頭痛薬を片手に原稿に目を通して、修正をしている。 「高原!まだ原稿が届いてないの、高原だけだぞ!締め切りは明後日だ。お前、担当だろ。なんとか書かせろ」 再び、自分と重なる主人公に盛大な溜息を漏らしていると、大谷編集長が私の真後ろで声を張り上げた。 ……ズキズキ、とその声が頭に響いて痛くなる。 編集長、急ぎだからって頭上で怒鳴らないでください。 しっかりと聞こえますし、それに今、校正中なので静かにしてください。 後、頭に響く。 私はこめかみを抑えてから、くるりと椅子を回転させた。
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