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「もちろん、いいですよ。これからも買ってくるつもりですから安心して下さい。先生が書いて下さるのなら何でもしますよ。ですから私のおかげと言って頂けて、遠慮なく甘いもので原稿の催促が出来ると、やる気が出てきました。さあ、先生。どこまで進みましたか?」
にこりと笑いながら優しく言うと、先生の表情が何か恐ろしいものを見るかのような表情になった。
「お、鬼……」
ぽつりと呟かれた言葉が耳に入り、私は眉をピクリと動かす。
「先生?今、何かおっしゃいましたか?」
「い、いえ。何もございません。あ、こちらが今回の原稿でございます。高原沙都美様、何卒、校正のほど宜しくお願い致します」
デジタル化にならい原稿はパソコンで打ってデータを渡す作家が多いけれど、西園寺先生はいつも原稿用紙に書いて私に直接手渡しをしていた。
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