アクアとキス

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アクアとキス

無事、というのか必死というのか……ともあれなんとか仕事を早めに終わらせて、連休の初日から休暇が取れた。 後日連絡があってその時に雅紀さんが指定したデートの日の朝、私は、身支度をしながら雅紀さんからの連絡を待っていた。 会社の近くの駅で集合でもいいと言ったけれど、雅紀さんがわざわざ私の家に迎えに来てくれると言ってくれたからだ。 なにやら、朝からデートをしたいからだという。 深い内容は教えてもらっていないから、今日はどこに行くのか全く知らなかった。 彼氏と別れてからは昼過ぎまで寝るという休日の過ごし方をしていた私は、久しぶりに規則正しい時間に起床した。 それから休日用のメイクをした。 休日用のイエローの膝上丈のワンピースに、オフホワイトのカーディガンを羽織る。 身支度を整えていると不意にベッドの上で、スマホが震えた。 画面を見ると、雅紀さんからメールが届いていた。 『おはようございます。今日は晴れてよかったですね。今、高原さんのアパートの近くに着きました。街路樹の近くで、クリーム色の二階建ての建物でよろしいですね?』 雅紀さんから丁寧なメールが来て、私は『おはようございます。アパートはクリーム色の二階建ての建物です。今から出ます。』と、シンプルな文面で送信した。 バッグの中を忘れ物がないようにチェックして、準備万端にした。 それから少し急ぎ足で部屋を出て、階段を降りる。 すると、明らかにアパートの駐車場に止まっていない、ブラックのボディーの光沢が眩しいほどの外車が街路樹脇に止まっていた。
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