「渡辺家」

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 すると私の様子を見計らったように、ドアが大きく開かれた。  そこに立っていたのは、一人の男だった。  年齢はおそらく渡辺くんと同じくらいだ。彼のお兄さんだろうか、  それにしても、臭い!  人間を漬け物のように発酵させるとこんな匂いがするのだろうか。そう思えるくらいの酷い匂いだ。  渡辺くんからこの匂いが漂っていたのは、この男と同居しているからだろう。 「こんにちは、お邪魔してます」と言うつもりの声が出ない。あまりの驚きに声を失ってしまった。    すると、「さすがは弟だなあ~」  男が舌なめずりをするように言った。「希望通りの可愛い子だ」  やはり、渡辺くんのお兄さんなのか。  というより、この男の顔・・渡辺くんより少し大きいけど、同じ顔だ。  それに、体型がかなり違う。渡辺くんは痩せ型だけど、この男は肥満体だ。
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