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男はしゃべりながらじりじりと詰め寄ってくる。腰が上がらない。あまりの衝撃と恐怖で体が竦んでしまっている。
男はいきなりは襲ってこない。私の全身を舐め回すように観察している。
「やっぱり、人形より、人間の女がいいなあ」
そう言った男の息が「はあはあ」と、荒くなっている。
人形・・ということは、この男は人形の愛好家なのだろうか、
男はそう言った後、
「それも、同じ人間でも幼子より、物分かりの良い年頃の女の子が一番だなあ」と続けた。
ああ、悪い予感が全て当たってしまった。
人形よりも人間、幼女よりも年頃の女の子。その幼女というのは由香ちゃんのことだ。
「私、帰ります!」
ようやく拒否の言葉が出た。渡辺くんが戻ってくるのを待ってなんかいられない。一秒たりともこの部屋に居たくなかった。
けれど私の行動は封じられた。男が私を押さえつけるように、両肩に両腕を置いたのだ。圧倒的な力だ。
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