君が眠りにつくまで、キスを。(仮)

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先生と入学に際し、一通りの話が終わった。 先生が「さて、紅茶でも淹れましょうかね。」と言って、 部屋の片隅にある小さなキッチンへと向かった。 電気ケトルがぶくぶくと音を立て、お湯が沸いたことを知らせる頃、 ドアをノックする音が聞こえた。 「どうぞ」と言う先生の声にかぶるように 「失礼します!」と律儀そうな男子学生が入ってきた。 その男子学生は、既に部屋にいた私を見て、ビックリしたようだった。 「せ、先生、コピー、できました…」と言うと、 束になったコピー用紙を差し出した。 「湯井原くん、ありがとう。 私の机に置いてくれる? あ、こちらは秋からこの大学に入学する安永美希さん。 安永さん、こちらは同じ学部1年生の湯井原雅樹くん。 頼りになるから、わからないことがあったら、彼になんでも聞いて。 湯井原くん、よかったら今から一緒にお茶でもどう?」 というと、先生は上品そうなカップが並ぶ食器棚から、カップを3つ取り出した。 「あ、いや、その…。 じゃあ…少しだけ。」 湯井原はコピー用紙を机に置くと、もじもじしながら、私の真向かいのソファにちょこんと腰を下ろした。 湯井原雅樹…これが彼との初対面であった。
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