君が眠りにつくまで、キスを。(仮)

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湯井原は長身で細身だった。 長い脚はソファーの座面高に合わず持て余し、 貧乏ゆすりでも始めるかの如く、そわそわしている。 目線は真向かいの私に一度もうつすことなく、先生の部屋に並んでいる書物や物、 天井へと必要以上にキョロキョロと見回していた。 そんな空気に私も落ち着かなかった。 手元の資料や窓の外へと目を向けていたが、 「先生、手伝います!」とソファーから立ち上がり、キッチンの方へと向かう。 動いて、何かやることを与えられた方がましだ。 どうして落ち着かないんだろう。 何故、気持ちがふわふわしているのか。 今まで、誰かがそばにいて、支えられて生きてきたのが、 これから一人で生活していくことで、わくわくと不安な気持ちから 落ち着かないからだろうか。 それとも、同世代の男の子を初めて目の前にして、落ち着かないからだろうか…。
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