プロローグ

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プロローグ

 私の名前は葉羽(よう)。 どうやら私には不思議な力があるみたい。 それは・・・『浄化力』。 私にこんな力があるって発見してくれた人は、「周りのモノを綺麗にできる力」だと教えてくれた。 しかも、、、私はその中でも『人体に作用する特殊な力』というのをもってるんだって。 相手の悪い部分に両手を重ねて、精神を集中し、力を与えると物凄いパワーがみなぎるの。 これで私の大切な人たちを何度も救うことができた。 その事実は確実に私を成長させてくれている。 だから私はこの力をもっともっと磨かなくてはいけないの、、、 自分を強くするために・・・。  私には婚約者がいる。しかも一国の皇子様。それでいて現在、皇帝陛下になる準備中・・・ 田舎育ちの私にはまるで夢のような話だったけれど、彼の優しさやまっすぐに私を愛してくださる姿勢にいつのまにか惹かれて、、、、決意したの。 彼に相応しい奥様になるって。 そのためにはこの力をもっと自分のモノにしたい。 田舎者の私には、何か取り柄をもってでしか彼の傍に居られない気がするから。 いつの時も誰かに守られてる存在なんて嫌! 私が私らしく居られるために、自分ができることを精一杯身につけておきたい・・・ そして彼が困ったとき、この国がピンチになったときに力になれる存在でいたい。 それが私の目指すもの・・・  だから私は、この力を磨くために修業に出ることにしたの。 まだまだ力のコントロールができなくて、エネルギーを使うたびに失神してしまう。 そんな情けない自分から一歩脱するために・・・ もちろん婚約者からは反対された・・・ 修業するにはそれなりの覚悟がいる。力を安定させるためには、3年5年、、、10年かかる時だってある。 彼も今、皇帝になると決意したところ。それなのに私がそんなに長く離れるなんて不安だと・・・ その気持ちはすごく嬉しいの。でも彼が一歩を踏み出したならば、私もそうしたい。 「明日でいい」なんて、私の中にはない・・・ だから説得した。必死に私の想いを伝えた。 反対されて、婚約解消だと言われても仕方がないという覚悟を持って。  すると彼は完敗したように、一枚の紙きれをくれた。 そこには彼の友人の名前が書いてあった。 ・・・『麒麟(きりん)』 彼女は私と同じ力を持ち、しかも世界に名の知れるその道の第一人者なんだって。 ここからだいぶ離れた辺鄙な場所にお寺があるらしく、そこで同じような力を持つ修行僧を数名育てていらっしゃるみたい。 私は彼に感謝した。 そして想いを固めた。 彼の勧めるその師匠のもとで懸命に学び、少しでも早く彼の胸の中へ帰ってこれるように・・・
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