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麒麟様は、初めて彼女を目撃した池の前に同じように立っていた。
辺りはもう薄暗いのに、不思議となぜか彼女だけが輝いて見えた。
「やっと部屋で休憩していただろうに、呼び出してごめんなさいね」
「いえ、とんでもないです。麒麟様のお傍は凄く癒されます。
御用のある時もない時も、気軽にお呼びください!」
「では、こちらへおいで」
彼女に呼ばれ、私は喜んでその距離を縮めた。
「あなたにここでの修行のこと、まだ何も伝えてませんでしたね。
ここは浄化の寺。浄化の力を持つ者が集い、そのパワーを磨き、蓄え、時には調整したり、必要な者へと与えたりする聖なる場所です。
これは浄水の池。力の源がここから湧き出て、近くの里に緩やかに注いでいます。
だから、ここからつながる町一帯は、浄化の里とも呼ばれているのですよ」
「もしかして、町の中心にあった大きな滝は、この池とつながっているのですか?」
「ご名答。あの滝から多くのエネルギーを感じ取ったのですね。
そこで、あなたへ課題をひとつ与えます」
「課題?」
「真の浄化力の持ち主を9人、ここに集めなさい」
突然課されたその内容に、私は戸惑った。
彼女が仰ることがさっぱりわからなかったから・・・。
「同じ力を持つ人を、ということですか?」
「そう、同じ『浄化力』を持つ者です。
ただし、特殊な力というのは、生まれたときから先天的に備わっている者と、修業を得て後天的に獲得した者の二者に分かれます。私が言った真の持ち主とは前者のこと」
「えぇ?それはかなりの難題では・・・?」
「そう、難題です」
「いきなり9人だなんて!!どうやって集めれば・・・」
私は頭がパニックになりそうだった。
私の能力が発見された時も、国の仲間は珍しい力だと驚いていた。
そんな人を9人だなんて!しかも、先天的と後天的な人がどのくらいの割合で存在するかは分からないが、さらに絞られてる?
その時初めて、紗倉が言った修業期間の重みをひしひしと感じた。
覚悟はしてきたものの、私、いつ帰れるんだろう・・・?
表情が曇る私を見かねて、彼女はアドバイスをくれた。
「私は数に含みませんが、この寺におる者も数に加えて構いません。
ここから流れ出る水には、純粋で貴重な浄化パワーがたくさん含まれています。
それを小さい頃、いや母親のお腹にいるときから与えられたものは、自然と力を備えている者が多いのです。だから、この里に在住する者に目を向けて探せば、そんなに難しいことではないですよ。
見事に探し出し、この池の前に集わせることがあなたへの課題です」
そんなに難しいことではない?
いやいや、小さい頃からここで育った者ならまだしも、私は今この地に来たばかり・・・
難易度はぐ――――んと何倍にも膨らんでいるようですが・・・
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