刻印

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刻印

 翌日から私は、仲間探しを始めた。 太賀さんは、ここには6人の修行僧がいると教えてくれた。 その6人は期待できる! そう思っていたのに、序盤からつまずいた・・・ 昨夜、何度も初那に確かめてみたが、彼女の手のひらに刻印は現れなかった。 麒麟様の課題はあくまでも私一人に課せられたものであり、通常は仲間とともに修業を行うことが日課となった。 私は着替えをして講堂に行く、、、すると仁胡がすでに来て準備をしていた。 「おはよう、仁胡!」 元気に挨拶し近づくと、彼は恥ずかしそうに返してくれた。 「あ、おはよう・・・」 修業開始までは少し時間があった。 私は彼の前に座り込み、じっとその目を見つめる。 「ねぇ、仁胡。もう一回手を貸してくれる?」 「ヤダよ」 仁胡は顔を真っ赤にし、それを拒否した。 私には、もしや修業中の3人には刻印が現れないのではないかという疑問が湧いていた。 そうだとすると大きく予定を狂わさせる。ここで獲得できる人数は半分に減ってしまうから・・・ だから自分を安心させるためにも、彼は該当するのか確かめたかった。 「お願い!ちょっとだけでいいから・・・ね?」 私は両手を合わせてお願いした。すると彼は渋々、手を出してくれた。 それから麒麟様に教わった通り、両手で彼の細い手をそっと包み込む。 やり方は間違ってないよね?と、込みあげる不安を押さえながら・・・ すると、彼の手のひらには一つの刻印が見えた。 「しずく?雫だよね!」 私は嬉しさのあまり、それを仁胡に見せて確認した。しかし彼にはその文様が見えないようで首をかしげていた。 「おっはよー!!!あれあれ、お二人さん、いつの間に仲良くなったの?!」 そのとき突然、壱悟くんが登場した。 仁胡は即座に手を隠すと目を伏せ、何もなかったかのように知らぬふりをする。 「あ、壱悟くん、おはようございます!」 私も変な誤解で仁胡を困らせてはいけないと愛想笑いでごまかした。 しかし頭の中は、なぜ刻印が自分にしか見えなかったのだろうとそればかり考えていた。
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