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「大丈夫?ケガはない?」
人気がないところまで誘導されると、九雀さんは優しく声をかけてくれた。
「あ、はい。ご迷惑をおかけしてすみません・・・」
というか、その引き金は私であり、巻き込んじゃった壱悟くんには悪いことしたなぁ・・・
そんな罪悪感で胸がいっぱいになっていると、彼は私の心を読んでいるかのように手を差し出した。
「はい、どうぞ」
「え?」
「いや、なんとなく、握手したそうだったから・・・」
私はその手をじっと見つめた。
ほんの先ほどまでの私なら、間違いなく食いついていた・・・
だけど、まだ知り会って間もない男の人に急に触れることは危険なことなのだと理解できたのだ。というか、『課題』にばかり気をとられすぎて、そんなことさえ見失っている自分に驚いた・・・
すると九雀さんは、躊躇する私の手をとり、無理やり握手をした。
「僕はいいんだけどね。やはり、男に触れるときは注意しなきゃダメだよ」
やはりきた・・・ごもっともな意見・・・。
その指摘はまさに私の胸にグサリと刺さった。
「じゃあ、またね」
九雀さんはわざとらしく手を振りながら去っていった。
その手のひらには、鳥の刻印が記されていた・・・。
3人目・・・いた。
ありがとうございます・・・・
傷心の私はただただ感謝した・・・。
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