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Friends
それから私は太賀さんに連れられ、寺院内を一通り案内してもらうと、最後に講堂へとたどり着いた。
「葉羽様、ここには今現在、6名の弟子がいるんです。あなたはその7人目。
貴女より年上の3名は修業がひと段落し、寺の中でそれぞれ好きなことをしています。
そのうちお目にかかることもあるでしょう。
同年の3名は現在厳しい修業中であり、これから顔会わせることも多いと思いますので、紹介しておきましょう・・・」
その講堂には2人の男の子と先程会った女の子が座っていた。
「一人は先ほどご挨拶した初那です」
彼女は再び可愛い笑顔を見せ会釈する。
「手前の背の低い方が、壱悟、奥のひょろ長いのが、仁胡」
「俺、細くないし」
「へへへ、こいつね、ニコって名前なのに、全然ニコニコしてねぇの!」
太賀さんの紹介で、壱悟くんは隣の機嫌悪そうな相棒を突きながら無邪気な笑顔を見せてくれた。
「私は葉羽です。よろしくお願いします!」
私もその自己紹介に続き、深々と礼をし挨拶した。
「俺たちタメなんだろ? 修業は厳しいんだし、挨拶くらい気楽に行こうぜ!」
ふぅ、、、怖そうな人たちでなくてよかった・・・
壱悟くんのフランクな話し方にやっと肩の力が抜けた思いだった。
それから私たちは、太賀さんの提案で散策がてら寺周囲をフラフラすることになった。
「急に言われても困る」
「まぁ、まぁ仁胡ちゃん。そんなイライラしないで!」
急に修業が中断されたからか仁胡くんは不機嫌だった。
なんとなくこの場の雰囲気を変えようと、初那ちゃんが私に質問した。
「ねぇ、葉羽ちゃん!
ちょっと小耳に挟んだんだけど、婚約者がいるってホント?」
私は急に自分のプライベートなことを聞かれ、ドキッと顔が赤くなった。
「うわぁ、いいないいなぁ。どんな人?」
「えぇーっと、すごく優しくてドキドキさせられて、センスもあって、本当に素敵な人・・・」
「うわぁいいなぁ!!!17でもう結婚しちゃうの~?憧れるなぁ・・・」
「初那には、俺がいるじゃん!!」
ふいに呟いた壱悟くんの言葉は耳に入ってないようで、彼女は目をキラキラ輝かせながら、夢見る乙女のように妄想の世界へと心が羽ばたいていた。
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