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「仁胡くん、、、私ね、不愛想だから駄目だとは思わないよ・・・
私の国にもね、笑顔が苦手な人はたくさんいるけど、みんなすごい人だもの!」
「うん、、、なんか、うるさい奴らでごめん」
「ううん、すごく楽しいよ!
私のいる国もね、愉快なメンバーがたくさんいるの。
彼らと別れて本当は心細かったから、ここの人たちに温かく迎えてもらえたこと、すっごく嬉しい。仁胡くんもありがとう・・・」
「仁胡、、、でいい」
「え?でも・・・」
「同い年だし。仲間だし」
彼は恥ずかしそうに俯いた。そんな言葉数少ない彼がなんとなくかわいく思えた。
「うん、わかった!仁胡」
彼は俯いたまま、顔をポッと赤らめた。
そして、結局行く当てもないまま、ぐるりと散歩し寺院へと戻った。
「今日は付き合ってくれてありがとう。楽しかった!」
「俺も」
彼の表情は、笑顔とまではいかないものの、今までで一番穏やかな顔をしていた。
私はそれが嬉しくて、右手を差し出した。
「握手。仲間?の印に!」
仁胡は緊張しながら手を出しそっと触れてくれた。彼の指は細く、その手はひんやり冷たかった。
「葉羽の手、あったかい」
私はにっこり笑ってバイバイと手を振り、部屋へ戻っていった。
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若い二人の様子を、遠くから麒麟と太賀が眺めていた。
「ほう、仁胡はもしかしたら、覚醒するかもしれないですね」
「あの仁胡様がですか?まさか!」
「友人の依頼で彼女を引き受けたけれど、もしかしたら礼を言うのは私になるかもしれないわ・・・」
2人は意味深な会話をしながら、二人をほほえましく見守った。
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