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課題
『葉羽ちゃん、寂しさを乗り越えてがんばってきてね。より一層女として磨きのかかった君に会えるのを楽しみにしてまーす・・・あなたのパートナー、緋色より』
散歩から戻ると、緋色さんは置手紙を残して先に帰ってしまっていた。
聞きたいことがいっぱいあったのに、、、
本当に一人になったと思うと、急に寂しさが溢れだした。
「何?もしかして婚約者からのラブレター?」
私は、女性同士ということで初那ちゃんと相部屋だった。
彼女は手紙を覗き込みながら心配そうに声をかけてくれる。
「これは、さっきまで一緒に居た緋色さんから。
初那ちゃん、急用は大丈夫だった?」
「こらこら、初那って気軽に呼んで!
もう同じ立場だし、女同士だしね!
そうそう、さっきはごめんね。実は私、憧れの人がいてさ・・・」
そう話しながら彼女は急に顔を赤らめ、恥ずかしそうに俯く。
その時私はピンときた!
「もしかしてあの背の高い人? 彼とは話せたの?」
「うん、ちょっとだけね・・・。
彼はすごく真面目で寡黙な人だから、一緒にいてもあんまり会話はないんだけど、、、、
一目見れるだけでもしばらくうっとりできちゃうの!おかしいでしょ、フフ」
彼女は幸せそうににっこり微笑んだ。
「そっか。初那、すごく可愛い、、、その恋、実るといいね」
「うん。でもね、いっつも肝心な時に壱悟が邪魔するのよ!」
さっきの乙女チックな表情から一転し、彼女はモヤっとした顔を見せる。
私はちょっとだけ気になったことを聞いてみた。
「最初はね、私、、、あなたは壱悟くんと仲いいんだと思っちゃった・・・」
「壱悟ねぇ、、、彼はあんなお茶らけてるけど、すごく有能なの。
だから、私なんかにはもったいない・・・」
わぁああ、、、みんないろんな思いがあるんだな・・・
まだたった数時間しか滞在していないけれど、ここにはいろんな恋模様が渦巻いているんだと思うと、いつもの調子でつい口走ることだけは避けねば!
「葉羽は?今までにどんな恋愛したの?さっきの婚約者の話、、、もっと聞きたい!!」
初那はキラキラした表情で私の恋愛について質問する。
いつもいっぱいいっぱいで、誰かと恋バナすることが苦手な私は、この場をどうにかすり抜けたいと思ってしまった・・・。
トントン
その時ナイスタイミングといわんばかりに、誰かが部屋の戸を叩いた。
「葉羽様、麒麟様がお呼びです・・・」
それは太賀さんの声だった。私は逃げるように部屋を飛び出した。
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