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エピローグ
少し離れた高台。そこに水色の浴衣を着た少女が一人。二人の姿をそっと見守っている。
「上手くいったかな? イジワル言って、ごめんね……」
少女は、買ったばかりのリンゴ飴を握りしめ、ため息をつく。
「でもね。好きだったのは、本当なんだよ……」
ぼそりと呟いて、リンゴ飴をかじる。蜜で赤く染まった口許は、少女をほんの少し、大人に見せた。
始まりを告げる花火が上がる。
「お兄ちゃん達が待ってる。そろそろ、戻らないと……」
少女の声は潤んでいたが、ここは誰も居ない場所。それに気付くものは、居なかった。
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