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第一話 転生した種族は世界に嫌われているが史上最強にして最恐の種族
前回のあらすじ、死んで魂と意識だけの存在になったタツキは女神らしき人物に遭遇し、その人物はタツキにちょっと失礼な態度を取ったため全力投球の謝罪をして現在本題に戻ろうとしていた。
「さて、では本題に入りましょうか?」
「いや、待って!?この空気で本題に入るの?大丈夫何ですか!?」
「はい!話の腰を折らないでください!前世ではお嫁さんの腰を性的な意味でおったから話の腰も折れるってか!ってか!」変態野郎が空気を読まず下ネタをぶっ込むオヤジ臭いことを言う女神にまたもや、タツキは
「ああ?」とドスの効いた声で女神に言った。
すると女神は、
「す、すみませんでした。調子に乗りました。では、本当に本題に入ります。」と冷や汗かきながら話し始めた。
「申し訳ありません。私はこちらの世界の女神でカミュシュエルと申します。」
「こちらの世界っていうと、あなたは異世界の女神ということですか?」
「その通りです。そして、あなたはあちらの世界で善行を達成しました。その褒美として、こちらの世界に転生していただきます。その条件としていくつか付録があります。」
「条件?」恐らく嫌な予感が当たるのではと思って恐る恐る聞いている。
「まずは条件一つ、こちらの世界は異種族に必ず転生します。つまり元の世界で人間だったとしても同じ種族に転生する事はできません。
その二、私のお告げをその世界であなたに放ちます。それが例えどんな無茶ぶりだろうと必ず聞くこと。聞かなければあなたに1日中ちょっと細かい不幸が起こる呪いをかけられるか、一週間性別を逆転されるかを選んでいただきます。性転換の場合筋肉量はそのままなので、女性になった場合めちゃくちゃごつい女の子になります。その三、先ほどの一つ目のルールの種族の関連することですが、あなたが転生する種族は私の世界で史上最強にして最恐の種族の龍神族になります。しかし、この種族は私の世界ではあまりにも力が強すぎるがため、他の種族から嫌われており妬まれております。正体をかくして活躍しているなか万が一にも正体がばれて、世界中に嫌われても世界を壊そうとしないこと。この三つ目は絶対守ってもらいたいのです。」
タツキは、ここで色々疑問に思ったものがあったため、聞くことにした。
「まず、一つ目は納得した。しかし、それ以降の条件飲めないものがあるんだが特に二つ目。とりあえず二つ目はまじで重要だからあとから聞く。まず三つ目だ。なぜ、その種族に転生が決まっている?それと、戦闘法も教えてくれ。」すると、たんたんと答え始めた。
「はい。まず転生する種族が決まっていることについては、あなたの力に見合う種族がこちらにはこの種族しかいなかったからです。そして、この種族の戦い方は、まず武器達人というスキルで、どの武器も完璧に扱うことができます。さらにその上位スキルとして戦闘法融合を持っております。これは様々の武器一つ一つには特化した戦い方があるように、その武器の戦い方を相乗した戦い方とそれぞれの武器を融合させた戦い方ができるスキルです。例えば刀を一刀流を相乗させると、二刀流や三刀流はもちろん、扱う武器の数を増やした闘法が使えたり、異種の武器同士の特化した戦い方を融合させて新たな戦い方を生み出すことが可能になるのです。」
「なるほどな、あと他には?」
「他には、魔法スキルです!こちらの世界では一人で扱える属性魔法はせいぜい最大でも三つなのですが、あなたの種族は全属性魔法使いというスキルを生まれながら持っており、そのなかでも特化した一つの属性を極めて使用します。そして、さらにはその魔法と組み合わせた拳法があります。その名を〔龍神拳〕と言って、その属性に特化した型があり、龍のように強く、龍のように激しく、龍のように美しく闘うことを信条にした拳法です。あなたが転生する龍神族の一人は一族の長で最後の生き残りです。しかも、一族のなかでも史上最強で全龍神の属性を使いこなすものです。つまりあなたの元の世界の力はこちらの世界ではそれくらいじゃないと釣り合わないからこの種族に転生する定めとなりました。他にも身に付けている戦闘法はありますがそれは自分で体感して理解してください。」
ものすごいことになっているが、タツキは凄すぎて実感が持ててないのか、
「ふーん。」となんとも淡白な反応であった。
「ちょっ、さすがにこれは驚くべきところではないでしょうか!?」
「いや、凄すぎてどんな反応していいのやら。」と戸惑いをしつつも、
「それより次だ!一番重要なとこ。二つ目の条件これはお前理不尽すぎだろ!?お告げ通りにしなければ、1日中ちょっと細かい不幸が起こる呪いをかけられるか、一週間性別を逆転されるかって言うこと聞かないのにどんだけのリスク背負わなきゃいけないんだよ!」
するとカミュシュエルはわかってたかのように「だって、こうでもしないとあなたテコでも動かないでしょ?」
「そりぁそうだけどぉ!それかける必要ある!?」
「ハイハイ。下らない質問はすっ飛ばして次の話に行きましょう。次は四つ目の条件なんだけど、この世界を救ってもあなたは元のいた世界には戻れないわよ。だって、転生者なんだもん!」
「うん。そこはわかってたから気にしないんだけど……」溜めるに溜めて、
「あんまし可愛い子ぶった口調使うんじゃねぇよ。ぶっ殺すぞ!」とガチギレのタツキを前にして
「う……。」
「う?」
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん。」泣き始めてしまった。
「おいおい!?何で何で何で!?」流石のタツキもおろおろして慌てた。
「私女神だのに、女神だのにぃぃぃ。なんでおごらなぎゃなんだいのぉぉぉぉぉ!」めちゃくちゃ泣きじゃくられて、罪悪感を感じたタツキは、
「ああん!わかったわかった。とりあえずあんたの目的に協力する!するから泣き止んでくれよ。」
「ッヒクッヒク……ホントに?」
「ああ。」
「後悔しない?」
「男に二言はねぇよ!」
それを聞いてカミュシュエルは泣き止み、
「やったぁぁぁぁ!!では、転生の準備するわね!それと付け加え、今回の転生の対象種族に転生するに当たって追加説明とデメリットの方を説明するね!」
「それさっきの条件説明のなかでするべきじゃないのか?」
「まぁ、そんなことは置いといて。まず追加説明は転生したあなたは他の種族では致命傷レベルの傷を受けても大抵の傷はすぐ治ります。あまりにもバラバラになった場合は脳か心臓が残ってればセーフ。ただし、体が完璧に残ってても脳と心臓を同時にやられたら死にます。そして、デメリットの説明ね。デメリット1、転生したあなたは感受性では女性に対しての感情は無自覚になります。つまり性的反応が体が反応しても心が反応しない状態になります。顔にもでなくなるから。その2、転生前の記憶は全部消させてもらいます!完全に消すのは無理矢理転生するお詫びとして、感覚だけ残しておきます。特別だぞぉ!その3、転生して世界を救っても元の世界に戻ることはできません。これは記憶を消してしまうし、第一あなたの体が向こうの世界で残っているかわからないから戻れないというより戻せないと解釈してね。」
「まぁ、何でもいいさ。要は死なずにあんたの世界を救えばいいんだろう?こんな力持っちまったんだ。せいぜい滅ぼさないように救ってやるさ。」
カミュシュエルは肩の荷が降りたように一息ついて、
「では、始めますよ!それと、こちらの世界でのあなたの名前は龍神王巧海になります。」
「ああ。わかったよ。さっさとやってくれ。」
魔方陣を張りカミュシュエルは唱えた。
「転生魔法 愚者の旅路」
光が元タツキである巧海を包み包んだ光は地上に向かっていった。
「頼みましたよ。巧海様」カミュシュエルは目を閉じて祈りそこから姿を消した。
一方巧海は光に包まれ今、
「にゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
地上七百メートルを落下中。ズドンッ!
「あいたたたたぁ。くそぉ、もうちょっと優しく送ることできねぇのかあの抜けてる駄女神!!世界救ったあと遭遇したら絶対しばく!救う前でもしばく!」と新たなる決意を固め、とりあえず辺りを見渡した。見渡す限り何もない平地の草原。
「うーん。周囲に人も何もいなさそうだし、どうしたものか……あっ!そうだ、本当に龍神族に転生出来たかどうか確認してみよう。確か、拳法を駆使して闘うって言ってたな。なんて言ったっけ?龍神拳だったよな? とりあえずやってみよ。その前に体の状態をチェックだな。」
巧海は服を脱ぎ始め体を調べ始めた。前に比べて身長は縮んだが以前よりも筋肉質な体になっており右脇腹に龍の頭の痣が大きくあった。さらに腕には龍特有の鱗があり、それは日に照らすと、さまざまな色に輝いていた。
「次は戦闘力の確認だな。覚えのない拳法なのに記憶の中にあるのは不思議だなぁ。」とにかく構えをとり始めた。
「龍神拳 一ノ型 炎龍神の構え」完全に型の構えをとって、
「龍神拳奥義 炎龍神 獄牙焼溶弾」と拳から体の五倍位の大きさの火球が放たれ、火球が通ったであろう道が黒く焼け野原になるのを見て、
「うん。まじで力を加減しないとろくな目にあわないなこれ。」実験してこれ程後悔はしたことはないと思った巧海であった。他にも、いくつかの魔法を試してみることにした。一つはカミュシュエルの説明されてなかった魔法、無幻武装を試した。無幻武装とは自分が頭の中で想像した武器の形状、能力、特性、切れ味等を現実化する事ができる魔法で、一度生産した武器は一度でも使用しないと他の武器を扱えない。一度生産した武器は消すことができない。生産した武器は自分が仲間と認めた者以外は使用できない。という欠点がある。
「この魔法……。使い勝手は良いが事後処理が大変だなぁ。どうしたものか……そうだ!」
次に、使用した魔法は次元収納。この魔法はどんな物でも収納出来るらしい。しかも、しまう容量に制限がない。出したり入れたりも自由。ただし、他の魔法と平行して使用することが出来ない。次の魔法は治癒魔法なのだがこれに関しては、怪我しないと無理だとわかり説明されてなかったスキルの一つ、魔法鑑定を発動させ、状態回復、体力回復さらに武器や物の修復魔法や使用法がわかった。次に召喚魔法を試した。召喚魔法はものすごく特殊なものが使用できるようになっていた。その名も幻合成獣。この魔法は自分が把握している幻獣を頭の中で想像し合成して召喚する魔法だ。しかし、現段階ではまだその資料を見てないため今は使えない。次に確認したのは憑依魔法だ。この魔法は2つあり、惑星の特性能力が使用できる惑星憑依。黄道十二星座の力を憑依させる十二星座憑依があった。これらは実戦で使ってみないとわからないと思い使わずに終わった。
「ふぅ、あらかただいたいの魔法とスキルは確認できたな。さぁて、動き出すとするかぁ。」
宛もなく目的もなくとりあえず、さっきの技で黒くなった道を辿ってみようと思い歩み始めた巧海。しばらく歩いて行くと、
「はぁ……はぁ……はぁ……はぁ…!!」古びたローブを被った何者かが走って逃げているのが見えた。おそらく魔法使いだろう。何事かと見てみると、その者は複数の盗賊らしいやつらに追われていた。しかし、人間ではない。肌が緑で普通よりも大きい鼻に、口には牙がはえている。ゴブリンであった。
「待てぇ!逃がさねぇぞおらぁぁ!」ゴブリン盗賊の一人が縄のような拘束具を投げて逃げていたものの足を捕らえた。
「へへへぇ、手間とらせやがって。俺たちのアジトを壊しやがって。」
「あの基地高かったのですよ。どうしてくれるんですか?」
「この落とし前きっちりつけねぇとなぁ。」
「さぁ、金目のものを寄越しな!」と盗賊たちが魔法使いに取り立てた。
「だから、私ではないと何度も言っているでしょう!私は何も知りません!」こちらまで聞こえる声で訴える魔法使い。声と口調から察するに魔法使いというよりは魔女である。
「そうか。最後までしらを切るってことは金目の物がねぇんだな?だったらよう……」リーダーらしき盗賊がナイフで彼女のローブと服を切り刻んだ。
「キャァァァァァァァァァ!!!」
彼女の下着や肌などが露になった。
「へぇ。結構いい体してんじゃねぇかぁ。金が無理なら体で支払って貰うしかねぇな!」と周りの盗賊四人が魔女を取り押さえリーダー盗賊が彼女の下着に手がかかろうとする。すると巧海は構えをとり始めた。
「龍神拳 五ノ型 光龍神の構え。 」
そこから、腰を落とし拳に力を溜めて、
「龍神拳奥義 光龍神 琥珀後光一閃拳」なにものも貫く光の柱を放ち、リーダー盗賊に当たり魔女から引き離した。いくら超遠距離から放ったとはいえ中々の威力のある攻撃をくらい、盗賊のリーダーは気絶した。その隙に彼女は逃げてステルス魔法で隠れた。その他の盗賊たちは慌てた。
「誰だ!?」
「リーダーが気絶してしまいました!?どこから攻撃が?」
「どうなってんだよ!?ここ何もないから犯るのには最適な場所の筈だろ!?」
「まずは、落ち着くぞ。とりあえず、リーダーをやったやつを探すぞ!」と少しまとまりを見せたところで、巧海が来た。
「そいつを殺ったのは俺だ。」と言い放ちそれに気づいた盗賊たちは、
「「「「なにもんだテメェ!」」」」と声を揃えていったのに対し巧海は
「通りすがりの武士です。」
元最強勇者の最強がインフレーションした転生物語初の戦い。今ここに開戦いたします。
……続く。
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