プロローグ

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プロローグ

 エルドロント王国。その国は今祝福の雰囲気に溢れていた。この国出身の勇者が全世界を救い帰還した祝いとして国をあげての祝福会の開催中である。そのなかで銅像の前にポツリと立つ勇者とその仲間の三人。名前を勇者はタツキ、パラディンをセイアン、モンクマスターをゴノリオン、賢者をノルニア。 「いやぁ、世界を救ったとはいえここまで祝福されるとはなぁ。」 「ええ、そうね。本当に長かったようで、短かったようなでも、とても濃密な冒険だったんじゃない?」 「それにたくさんの仲間たちにも救われたしな!!な?アニキ!!」 「そ、そうです!!私達もそしてこれまで出会ってきた方達も……みんな頑張ってきました!」勇者とその仲間たちは今までのことを振り返り話していた。しばらくすると…… 「勇者様方!まもなく勇者一行を祝う祝福会が開かれますぞ!それと……この国の王女であるセイアン様と勇者タツキ様の結婚を祝う式典も開く準備もあとはタツキ様とセイアン様のおめかしだけになっております!」エルドロント王城の従者が勇者一行を呼びつけた! 「そういえばアニキ達結婚するんだったな!改めて言うぜ!おめでとう!セイアン、アニキ!!」 「は、はい!お、おおお、おめでとうございます!お二方!」ゴノリオンとノルニアも二人に祝いの言葉を放つと、二人は顔を赤くして照れた。 「ふ、二人とも!やめてよぉ、恥ずかしいじゃない!」 「でも、その……今までのこともそうだけど本当にありがとう。」 「勇者様方、お早く!国中のものたちは今か今かとあなた方の世界を救った功績と結婚を祝えるのを待っております!」従者はタツキとセイアンをつれて先に城に向かった。その道中…… 「まさか、本当に世界を救った勇者になれるなんて夢にも思わなかった。それに……君と結ばれるなんてことも。」タツキは照れながらいうと、セイアンも顔を赤めて、 「そうね。それと……ここだけの話。私あなたに惚れたのって結構早かったのよ。」 「いつから!?」 「あなたに出会って、二人で戦ったときあなたは自分もピンチなのにそれをかえりみず私を庇い続けた。挫けたときは励ましてくれて笑わせてくれた。本当に嬉しいよ!それに……あなたとの愛の結晶を授かれたことも///。」 それを言ったセイアンも聞いたタツキもさらに顔を赤めてうつむいた。 しばらく歩いて行くと 「キャァァァァァ!?強盗よ!!」国民の一人が叫び、その指した指の先にあった光景を見ると商いをしていた女性を人質に強盗が叫ぶ! 「お前らぁぁぁ!!金と地位と名誉とこの馬鹿げた式典と祝福会を中止にしろぉぉぉ!奴は実力を偽って世界を救ったつもりでいるんだぁぁぁ!早く中止にしろ!じゃないとこの女を好き放題いたぶるぜぇ。」 「アイツは確か……。」 「ええ、オルベイア公爵よ。私と縁談を無理矢理持ちかけて、あなたを騙しいれ偽りの勇者になろうとしたやつ。地位も名誉も奪われて、いよいよになって悪党に成り下がったわね。」オルベイアが二人を見つけると、 「ほう……これはこれは。我が物になるはずだったセイアンと私を地の底まで陥れたくず勇者!さぁお前ら、今すぐ式典を中止しろ!お前たちが言えば、止まるはずだ。さらに私の地位の返上。さらにセイアンを差し出せ。」 タツキは怒り、 「ふざけるな!絶対にそんなことしない!!」とタツキは剣を取り構えた! 「ほう。久々に私と対決するか?私が勝てばセイアンは私のもの。」 「負けたらおとなしく、自警団にその身を差し出すか?」 「ああ、約束しよう。」 二人は剣を構え決闘が開始された。しかし、さすがに、勇者に敵わず、オルベイアは地に伏した。 「さぁ、お前の敗けだ!」 「ああ、私の敗けだ。だが、せめて憎んだ人間の一人を始末してやる!」するとセイアンにめがけて刺しに走っていった。セイアンは恐怖で動けずにいた。 「セイアン!!」グサリッ……と嫌な音がしたがセイアンは無事であった。しかし…… 「タツキ……?タツキ!?タツキ……嘘よ!そんな嘘よ!」そう、タツキはセイアンを庇うためにオルベイアの刃の餌食になった。 「ハハハハハハハハ!!やった……やったぞ!私はやった!ハハハハハハハハ!!」 暫くすると自警団が来てオルベイアを取り押さえ連れ去った。セイアンはタツキを抱き寄せた。 「タツキ!!タツキ!!うぅっ……そんな……嘘よ!あなたが死んだら私は……私とあなたの子供は……うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」 タツキは薄れる意識のなか、 [あぁ、セイアンは無事だったか。よかった、どうせならセイアンと年を取って笑顔でなくなりたかった。]そして……タツキの意識は完全に消えた……と思った。タツキの意識は魂となり、暗い世界をさ迷っていた。 「あれ?俺は生きてるのか?いや、体の感覚がないから死んだんだろうな。だが、意識はある。恐らく、魂的な存在になっちゃったんだろうなぁ。」と呑気うろうろしていると、いきなり 「おおぅ、勇者タツキよ!シンデシマウトハナサケナイ!」とどこぞの有名RPGの神父のようにカタコトで話したが、タツキは普通にスルー。 「ちょ、ちょ、ちょっ待てよ!?女神が話しかけてるのですよ!?ビックリとか無いわけ?[だッ誰ですか!?俺の名前を呼んでくださる素敵なお声は!?]とかそんなの無いわけ!?」と言われると、 「ああ?」と目はないがドスの効いた声で、女神らしき人物に言った。 女神らしき人物はその声に怯えて震えていた。さすがに悪いと思ったのかタツキは、 「すみません。初対面の方に失礼でした。ついつい偉そうにしすぎてたので。」 「あなたへの言動気を付けます!調子にのってすみませんでしたぁぁぁ!!」と全力投球で謝ってきた。 「それでは本題に入りましょうか?」 「今の流れで本題入んのかよ!?」 とりあえず、スケールのでかい話になりそうと予想しつつ戸惑いを隠せないタツキであった……。
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