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バンガローにて
「トウヤさん...トウヤさんってば。
起きて下さい。お願いしますよ。」
嶋崎の泣きそうな顔で目覚めて寝起きは最悪だった。
「そんなヤナ顔しないで下さいよ...
大変なんです。
また始まっちゃいましたよ。
カガリさんと社長の言い争いが!
何とかして下さいよ。」
嶋崎はまた頭を垂れた。
階段をゆっくりと降りながら言い争いの中身を吟味した。
「だからオバさんって何よ!
小娘のくせに誰に物言ってんのさ!
私しゃね..
生き馬の目を抜くって言われる芸能界を伊達や酔狂で生きて来たんじゃないわ!
あんたなんかとしゃべるような人間じゃないのよ。
100万年早いわ、私に口きくなんて。」
「だから何なの?
言いたいのはそれだけ?
チッポケなオバさんね!
カガリはね!
何千年も何万年も生き続けているの。
しかもこの地を守り続けているの。
オバさんこそ私に口きくなんて1億年早いの。
分かるでしょ?
この石頭。」
「何ですって!石頭~
もう容赦ならない!
かかってらっしゃい!
叩きのめしてやるから!」
ほんとつまんない事で力使ってんな、と思いながら1階に降りた。
「もういい加減にしろよ!
2人とも!
みっともない...
社長もお願いしますよ。
マイコちゃんも年上に向かってそんな事言っちゃダメだろう。
大仙社長はボクにとって凄く大切な人で、
なくてはならない人なんだ。
そんな人に対して..いくら何でもマイコちゃんでも許せないよ。
ボクの気持ち分かってくれるよね。
だからまずはマイコちゃんがボクの大切な人に謝ってくれるかい。」
カガリはボクにしがみついて声を出して泣いた。
暫くすると社長のところへ行き、
「ごめんなさい。ナガテがそれ程大切な人とは知らず失礼な事言って
ほんとごめんなさい。許して頂けないでしょうか...」
カガリは眼に涙を溜めて頭を垂れた。
「まあ..トウヤがそう言うんだったら...でもね..」
「大仙社長!」
ナガテが促した。
「ええ..分かったわ。私もつい言いすぎたわね。
もう水に流しましょ。いいわね。マイコちゃん..
もうおしまい。」
社長はカガリの髪を撫でた。
よく見ると山姥のような髪も日に焼けた顔もすっかりと変わり、
サラサラな髪で単に汚れていただけの顔が色白になったカガリを見違えてしまった。
元々が可愛い娘だったので垢を落として一段と可愛さが増していた。
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