鏡川マイコ

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鏡川マイコ

ボクは中々寝付けずにいた。 この北海島にバカンスのつもりで来て思いがけない事が次々に起こった。 その一つ一つを頭の中で反芻(はんすう)していた。 するとスタンドライトの薄暗い病室の扉が音もなく開いた。 よく見ると鏡川医師だった。 扉を閉めると鍵を掛ける音が響いた。 いつもの雰囲気を消した彼女はボクの側に立ち何も喋らなかった。 ボクも黙ったまま(ほの)かな灯りの中で(たたず)む彼女を見つめていた。 どちらからともなく手を握り指を絡ませた。 ボクは彼女を抱き寄せて唇を吸って舌を絡ませた。 いつの間にかお互いの下着を取り払ってボクは湿りきった割れ目を、 彼女はイキリ勃ったボクを口に含んでいた。 何度もお互い吐息を合わせながら口の周りを濡らした。 向き直った彼女はボクの唇を吸い乳首を甘噛(あまがみ)した。 そしてボクを彼女の中に(いざな)い少しずつ()した。 「(なま)でいいの?」 「うん...大丈夫」 彼女が病室に入って来て始めての会話だった。 こんな会話したのは初めてだな... と思いながら徐々に激しく突いた。 彼女も激しく腰をくねらせた。 腰から首筋へ刺激が走り我慢出来ず射精した。 それでも彼女は腰を滑らせ幾度となく痙攣した。 ボクは抜かずにそのまま後ろに回り...突いた。 彼女は何度も崩れ落ちそうになったがボクは腰を持ち上げ突き続けた。 意識を失いかけた彼女の背中を吸いながら深く長く射精した。 彼女の横に崩れ落ちそのまま意識がなくなった。 眩しい光で目が覚めた。 入院服をキチンと着ていた。 あれは夢だったのだろうか... ゆうべの鏡川との熱くて深い交わり... ボクは起き上がって伸びをした。 腰が痛かった。 窓を開けると冷たい風が流れ込み心地良かった。 そして枕元に長い髪の毛が恥ずかしそうに隠れているのを見つけた。 ボクはその髪をつまみ上げて 「ありがとう」 って呟いて窓の外へ流した。 シャワーを浴びて着替えていると社長達が入って来た。 カガリはナガテ~と言って飛びついて来たが変な顔をした。 「女の匂いがする...」 と言ってボクを嗅ぎ始めた。 「おまえは野良犬か! シャンプーの匂いだろ。」 と言って指でカガリの額を押した。 「退院の手続きは10時からだそうです。 私が手続きを済ませて来ますので、 みなさんは空港で朝食でも如何ですか? フライトは13時の予定です。」 嶋崎が言うと、 「嶋ちゃんも一緒に行こうよ。」 カガリがそう言った。 「昨夜から嶋ちゃんなんですよ。 社長の事はわかちゃんって呼んでますけど... いいんですよね?」 嶋崎は声を細めた。 「社長が何にも言わないんだった良いんじゃね。」 ナガテはどうでも良かった。 扉の向こうで鏡川医師が病室をうかがっていた。 「あ、先生おはようございます。 何してんですか? どうぞお入り下さい。」 嶋崎が手招きした。 先生はみんなにほどなく挨拶を済ませると、 「トウヤ...ナガテさん.... え~っと...向こうに帰っても忘れないで下さいね。 ゆう...ゆう... ゆうびんハガキでお便り待ってます..よ。」 「先生..ほんとにお世話になりました。 何から何まで... 決して忘れません。先生の事... 東都に来ることがあったら絶対連絡下さいね。 待ってますから。 ほんとありがとうございました。 ...ってカガリは何やってんの? 先生に失礼だぞ。」 鏡川医師の周りを嗅ぎ回っていた。 「どうしてもこの女の匂いなんだけど...」 カガリは腕組みして鏡川医師を睨んだ。 「ちょっと早いですが精算できますからロビーの方へどうぞ。」 鏡川は顔を赤らめて病室を出て行った。 病院スタッフが集まっていて、 口々に応援の言葉や拍手をしてくれたり握手を求められた。 1人の若い看護師が走り寄って来てサイン駄目ですよね。 と小さくなった。 あとどうなるか分かっていたがナガテは快諾した。 ほぼ全員のサインに応え空港へ向かった。 空港でもナガテの情報は回っていて食事どころではなさそうだった。 しかし空港が気を利かせて特別室に通され食事が出来た。 機内も一番後部座席で最初に案内されて東都空港でも最後にゆっくりと降りることが出来た。 2ヶ月半ぶりの東都だ。
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