伝説の始まり

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伝説の始まり

ナガテはカガリの手を振り払い、 「あなた方は一体どう言う人なんです?」 と白髪の人にナガテが訊ねた。 「お前は人にモノを訊ねる事もちゃんと出来ないようだな。」 とカガリが静かに言った。 「ボクはお前に聞いてない。 その白髪の人に聞いてる。」 と言いながら上体を上げて寝床に座った。 カガリは何処かへ行った。 「一体どういう事なのか教えて下さい。」 とナガテは何処かへ行くカガリを目で追いながら白髪の人に尋ねた。 「この島の事はある程度聞いて来ました。 ずっとここで暮してると言われましたが、本当ですか? ひょっとしたら何かの事情でこの島に逃げて来たとか。 言葉は悪いですが。」 「ヒババ...こいつ殺していいか?」 もう容赦ならない。 カガリはナタの様な物を持って立っていた。 「アハハハ、カガリがどうしてもって言うなら仕方あるまいな。 しかしここでは駄目じゃ。 血でけがすでない。 裏の崖地でサッパリとやってこい。」 「...チョ、チョット待って下さいよ。 ...お、お前、...本気じゃないよな。 ボクは本当の事が知りたいだけなんだ。 お前と同じ名の娘の伝説を聞いてこの島に興味が湧いて来ただけなんだ。 それがいけない事なのか?僕は間違っているのか?」 ナガテが言うと、 「おれはお前が気に食わない。 それにヒババに礼は言ったのか? それすらしないでお前の事ばかりじゃないのか! 外へ出ろ。お前が気付かない内に魚の餌にしてやる。」 とカガリはナタを握り締めた。 「分かった。分かったから。 その...ヒババさん怪我を治してくれてありがとうございます。 唇が深く切れて腫れ上がっていたのに....。 不思議ですが、ほんとにありがとう。」 ナガテが申し訳なさそうに言った。 カガリはナタをテーブルに立て掛けてナガテに背中を向けて椅子に座った。 ヒババが話し始めた。 「ナガテと言ったか、お前はどうやってここに来た。 足を使い頭を使いながらここまで辿り着いたと思っているだろうが、 実はそうではあるまい。 お前が見聞きした事すべてがお前の何かを目覚めさせてしまった。 ずっ~とお前の中に刻み込まれた記憶の引出しの鍵が開いたのじゃ。 それでここへ導かれた。」 「お前の頭の中にある記憶は少しずつ薄れて曖昧な物になるじゃろ。 だから脳みその記憶ではない。 千年も万年も新鮮で無垢なままで生き続けているお前の魂その物じゃよ。 何かのきっかけでその魂の記憶が呼び覚まされたのじゃ。 それでお前はここに来た。 何故だが泣けて来たり胸が熱くなったり奇妙な事があったり... どうじゃ? わしらに聞くよりもお前自身が詳しい筈じゃ。 更に言えば、この場所もわしらに会ったのも初めてではない。 と言う事になるが。わからんかのう?」 「...実感はないんです。ただ変な夢を見たり性的な感触があったり。 非日常的な雰囲気は味わっています。 魂がどうのと言う大袈裟な事は分かりません。 魂の記憶とか言っても何も覚えていないので感覚的な何かが湧き出てくるでしょうか?瞑想して降りて来る様なものでもなさそうですし。」 「伝説のカガリをどう思う?」 とヒババが問うた。 「不確実な情報で有無を言わせず生贄として海に沈められた。そして彼女と宿っていたかも知れない命が生きれなかった...いや奪われた。その悔しさを思うといたたまれなくなります。」 「カガリよ。この男を抱きしめてあげなさい。」 とヒババは事もなげに言った。 「え!ちょっと待って下さい。」 とナガテは言ったが、 カガリはあっという間に近づきいきなりナガテを抱きしめた。 飛び掛かられた時は胸の膨らみや柔らかさを感じたが今は意外と華奢な身体といい香りで背中を電気が走った。 耳元で囁きが聞こえた。 「この島の怒りが始まらないようにお願いしないとね・・・。 どうして早く来てくれなかったの。」 「ナガテ。お前は必要とされている。オレは今までお前とは姉弟であり兄妹であり妻だった。 オレはカガミマイコからこの身体を貰った。そして今は別の者となっているがカガミマイコは丘を守っていた。それぞれ自分が何者だか分かっていないがその導きに抗う事なく今の血を生きている。」 そして...甘い香りがしたと思ったらナガテは気を失っていた。 目覚めるとカガリがナガテの上に乗って見つめていた。 「カガリ…な、何してんだ?!」 「シ〜ッ!静かにしろ」 「黙ってオレに従え。」 「・・・。」 カガリはナガテの服をめくり上げ胸をまさぐり乳首をゆっくりと指先で撫でて、そして口に含んだ。 「うっ」 ナガテは思わず声が出た。 血液がドクドクと流れ込み下半身が強く締め付けられるのを感じた。 「カガリ…もうよせ…」 ため息のような細い呟きだった。 しかしもう収まらなかった。 いつの間にかジーンズのジッパーは降ろされ解放されたナガテのモノは自分でも驚く程の太さと長さではち切れんばかりに成長していた。 カガリはそれを口に収めようとしたが小さい口に中々収まらずに苦しそうな顔をした。 ナガテはもう我慢するのが限界に来ていると感じた。 「カガリ…もう…我慢出来ない」 と言うと、 「駄目だ!まだだ!オレの言う通りにしろ!」 とカガリは無感情な言葉で吐き捨てた。 ひと通り口に含んだり舐めたりしたカガリは腰を引上げ自分のモノを広げてナガテを受け入れようとした。 しかし上手く入らなかった。 「おかしいな?ヒババの言った通りやっているのに……」 とカガリは独り言の様に呟いた。 その内カガリがチョット腰を落した瞬間ナガテのモノがスルッと入った。 「うっ!痛い!」 とカガリは顔を歪めながら声に出した。 それと同時にナガテは無意識に腰を振り、あっという間に果ててしまった。 それでも衰える事無く深くカガリの中で脈打っていた。 カガリはゆっくりと腰を上下し暫くすると歪めていた顔は次第に恍惚に満たされて行った。 「...ううう...あっ…キャ!」 カガリは自分の胸を掴み声を上げ腰を痙攣させナガテの胸に倒れ込んだ。 「カガリ……」 ナガテはカガリの長い髪を撫でながら名を呼んだ。 そして自分がゆっくりと上になり腰を振った。 カガリはナガテの尻を強く掴み抑えた声で吐息をもらした。 ナガテは自分の下半身がカガリの中に溶けていく奇妙ながらカガリにキスをした。 その内に二人共寝落ちた。 ナガテが目覚めるとカガリは腰布の様な物を着けようとしていた。 「夢を見たよ。変な夢だった。」 ナガテが呟くと、 「夢?ふざけないで...夢だなんて。」 カガリは事も無げに言った。 「ええ?...んん....それは何?」 ナガテが聞くと、 「月下帯」 と小さな声で言った。 「....月下帯?....何だっけ?それって」 と聞いた事があると思いながらナガテが聞くと、 「いいの...なんだって。....出血したから....」 と小さな声で恥ずかしそうに呟いた。 そして、 「君は私を女にしたじゃない。」 とカガリはさり気なく言った。 ナガテはまさかと思い自分のモノを触って見てみると指先が血で濡れた。 夢では無かった事を実感した。 それにカガリは激変していた。 首を絞めたりナタを持って来たカガリでは無くなっていた。 表情が可愛くなり身体付もふくよかだし、何と言っても言葉遣いが変わった。しかし本人は気づいていないようだった。 「行く所があるの。」 と言ってナガテを洞窟から連れ出し裏手にある石道を歩き岩場が多い海岸へ降りた。 カガリは海へ飛込み暫くするとウニを2個取って来た。 それを石で割りそのまま食べた。 甘くて濃くてこの上なく美味かった。 ナガテも海に入り探したが見つける事が出来なかった。 しかも夏なのに海水は刺すように冷たかった。 その内にカガリが牡蠣を3個見つけて来てナガテに2個食べさせてくれた。 濃厚で張りのある牡蠣はナガテの身体を巡り熱くした。 カガリが1個食べ終わるとナガテにしがみついて来た。 ナガテもカガリも充分過ぎる程、すでに身体の準備は出来ていた。 そしてナガテは再びカガリを抱いた。 洞窟に帰るとヒババが食事の用意をしていた。 「ヒババ〜!」 カガリは後ろからヒババを抱きしめた。 「...お〜、そうかい、そうかい。 言った通りに上手に出来たかい。 良かった良かった。」 ヒババは嬉しそうにカガリの頬を撫でた。 ナガテは恥ずかしくて、始終うつ向いてヒババを直視出来ずにいた。 「さぁ~こっちに来て沢山お食べ!夜は長いよ。」 ヒババはナガテを手招きして、ニコッと笑った。 夕食の食材は何だか分からないが芋、鶏肉、魚、貝、何かの果実。 ナガテはむさぼる様に食べ尽くした。 夜中...何気に目覚めるとカガリが上に乗って吐息をもらしていた。 ナガテは腰から脳に痺れるような電気が走り...たまらず果てた。 朝目覚めるとまだカガリの中にいた。 ナガテはまた腰を振った。 獣の様にタガが外れた性欲は際限が無かった。 そんな日を数日過ごしたある夜。 「あっ!玉(ギョク)が実った!」 上に乗っていたカガリが突然叫んだ。 「え!何が?!」 ナガテが聞いたがカガリは嬉しそうに、 「ありがとナガテ。」 と言ったまま寝床から姿を消した。 ナガテは訳が分からず、ふて腐れてその夜は一人寝入った。 夢を見た。 東都の臨海公園をカガリと歩いている。 すると沖合から海鳴が聞こえた。 「しまった!どうしよう?ナガテ!」 とカガリは不安な顔をしてナガテの腕にしがみついた。 「平気!大丈夫だ! 僕たち2人いつも乗り越えて来たじゃない。 心配しなくていいよ。」 ナガテはカガリの髪を撫でながら抱きしめた。 しかしナガテとカガリの足元から青い水が湧き始め、 やがて紺碧の渦の中に埋もれて行った.... 寒さを感じてナガテは目を覚ました。 山鳥が遠くで鳴いた。 外で寝ていた。 周りを見渡すと滝の音がして湧水場の脇道にある祠のある場所だと気づいた。 体の芯まで冷え切っていて上手く立てずにいた。 「カガリ~!カガリ~!」 力無く何度か叫んでみたが虚しく細い山びこが返って来るだけだった。
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