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両親からの手紙
朝、朝食を終え、二階の部屋で学校へ行く準備をしていると、
「ちょっと~、大事な話があるから、二人とも、早めに身仕度を整えて、和室に来てくれ~!」
「はいよ~!」
「は~い!」
と、父が一階から呼んでいた。
身仕度を整え、僕と妹が和室に入ると、父と母が改まった感じで、床の間の前に正座をしていた。
「二人とも、そこへ座りなさい」
父に促され、僕と妹は、何だか重たい空気に顔を見合せながら、両親の前に座った。
「二人とも、登校前の忙しい時間に、すまんな」
「いや、別に、俺たち、まだ時間大丈夫だけど、どうしたの?」
「何か~……、あった?」
僕と妹が訊ねると、母はうつむき、左手で口と鼻を覆ったかと思うと、突然、泣き出した。
「今日~、お前たちが、学校から帰って来たら……、母さん……、家に居ないから……」
「はっ?!」
「えっ?!」
母は、左手で嗚咽を抑えながら、畳の上に置かれた、改まった感じの手紙を、右手で、静かに、僕と妹の前へ、スーーーッと滑らせた。
「えっ、何、コレ?」
僕が訊ねると、母は泣きながら部屋を飛び出して行った。
「ん~……、父さんもな、お前たちのことを思って、母さんとは充分に、話し合ったつもりなんだ。しかし……、母さんの気持ちを、変えることが出来なかった……。スマンッ!」
「だから、何があったのよ~ッ! お兄ちゃんも私も、意味分かんないじゃん!」
「そろそろ父さんも仕事に行かないと……。お前たちも、学校、遅れるなよ! 詳しくは、Webで! ……じゃなくて、その手紙を読んでくれッ!」
「はっ?!」
「ちょっと、お父さん! お父さんってば~ッ!」
父も多くを語ることなく、家を出て行った。僕と妹は、ただただ意味が分からず、キョトン……、と顔を見合わせた。
「ちょっと、恐いんだけどッ! 一体、何々~、その手紙~ッ? お兄ちゃん開けてよねッ!」
「お……、おう……」
僕は、恐る恐る、両親からの手紙を開けた。
一枚の便箋が入っていた。
母の達筆な字で、何やら、切々と書かれていた。
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母さん、あなたたちの下校時、留守します。
父さんは、あなたたちも好きなハマチの特売が、あっちのスーパーであるから、あっちのスーパーへ行けって言うの。
だけど、こっちのスーパーだと、今日はタイムセールで、マグロの解体ショーもあって、マグロのいろんな部位が大特価なの!
だから、今日は母さんのワガママ、許してッッッ!!!
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「もう~~~、ほんま、朝からお騒がせな、おっさん・おばはんやで、全く! 俺ら、ハマチもマグロも好っきゃから、どっちゃでも、行って来てくれや~~~ッッッ!!!」
「あ~~~、私、サーモン食べたくなって来ちゃった!」
「ほんまや~! 俺も、以下(イカ)同文……、なんちゃって!」
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