第9章  運命にも、サヨウナラ

2/10
前へ
/95ページ
次へ
   「月杏。」  鬱々としていると彼が声を掛けてくれた。 「斈さん。素敵な式場ですね。」 「私たちの式場は、もっといい場所ですよ。」  彼は、イヤな親戚の集まりの輪の中から連れ出してくれた。式場は、彼の会社の息が掛かった所で本当に海外ウェディング向きな会場だ。  父のタキシード姿は、見るに堪えがたい。 「月杏、先にホテルに戻りますか?」  彼は、全てを理解してくれている。 「そうしても・・・・・・いいですか。」 「もちろんです。あとは、私と山田に任せて下さい。よく、頑張りましたね。」 「っ・・・・・・」  抱き締められ頭を優しく撫でられて泣いてしまいそうになる。 「気を付けて帰るんですよ。」 「はい・・・」  返事をすると彼は、会場に戻っていった。   
/95ページ

最初のコメントを投稿しよう!

160人が本棚に入れています
本棚に追加