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「お願いです。君が居ないなら、生きていたくない。」
手を握られて真剣に言われる。あの仄暗い瞳が見据えている。
「でも・・・斈さんはっ」
「写真を、見ましたよね?」
「はい。」
「アレは、姉です。血が繋がっていようと心から愛した人です。でも姉は、政略結婚に絶望して1人で逝ってしまいました。後を追うことも出来ずに生きてきました。
そうして君に出逢った。
君の視線の先には、いつも幸隆さんが居た。君も苦しい恋をしているのだと・・・すぐに判った。君が私を〝身代わりにしている〟と気に病んでくれていたけれどそれは、こちらの方こそだ。
姉に似ている君を攫った。お互いさまなんですよ、月杏。」
そうではないかと思っていた彼の話しをようやく訊けた。
「私で、いいですか・・・?」
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