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「ああん、もっと」
「もっと、なに? 言ってごらん」
AV男優を真似た囁きに、内心冷めながらも、喘ぎながら顔を歪ませ、直也の背に回した指に力を込めた。
「……も、イッちゃう」
中イキなんて一度も経験がない。けれど、あたかも男性器のみで快感を得ているように、わざと腟内に力を込める。
早く終わってほしいから。
「俺も、イキそ……」
激しく腰を振られると、私は派手に声を上げ、つま先をピンと伸ばした。
直也も、ほぼ同時でゴムの中で果てた。
「気持ちよかった?」
毎回同じ質問にテンプレで答えると、彼は満足そうに終わりのキスをした。
目に見える男のオーガズムと違って、女は自己申告で済むから楽だ。
けれどいつから私は、こんな嘘つきで演技上手な女になったのだろう。
身体を重ねれば重ねるほどに、虚しさが募る。
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