浮気について―オレンジタルトをデザートに―

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 そして、朝寝坊再びである。   翌朝、拓人はクスクスと笑って、パンパンとむくみで膨れた私の顔を見て笑っていた。スマートフォンを見ようとしたと白状した私に、怒るどころか、言えば見せるのに、と、拓人は軽く言ってのけた。 「明日は、絶対に仕事行かないから。店も予約したし、それと、ちょっと、一緒に寄りたいところがあるんだ。だから史ちゃんも、できるだけ、午後からは仕事入れないで。」   そして、そんな言葉を残し、拓人は上機嫌で仕事へと出かけていった。  明日は仕事いれないで、ということは、明日納期分の仕事を、今日中に終わらせないといけないのだということだ。   その仕事を思い出した私は、うんざりしながらも気合を入れて、洗面所へと向かった。
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