浮気について―オレンジタルトをデザートに―

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 土曜日――。   昼ごはん返上で働き、仕事を終わらせることができた。顔も洗わず、朝食も取らずに、取引先との闘いを終え、オーケーが出たのが昼の一時。その取引先は、フリーデザイナーを甘く、下にみてくるので言いたい放題。そのうえ、意地悪いことも言ってくる。けれど、私は私で負けてはいない。しつこく連絡をし続け、なんとかなったが、相手も面倒くさくなったのだろう、土曜日だし。   そんな仕事の後、少しの愚痴を零しながら、拓人が作ってくれたインスタントラーメンを食べた。そして急いでシャワーを浴びて、化粧して、ちょっとお気に入りのワンピースに腕を通した。 「で、行きたいところってどこ?」   こんな風にサプライズを(ほの)めかされるデートというのも久しぶりだったので、私も、ワクワクとしながら、拓人に尋ねた。 「まだ、内緒。」   まだ教えてくれない様子の拓人の腕を(つか)んで、歩く。   そして電車に揺られ、降りたのは私たちになじみがない駅だった。その駅から歩いて、五分ほど経った頃、拓人が足を止めた。
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