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あそこに月が見えるでしょう?
あれは月ではない。
隕石です。
隕石が落ちてきているのです。
お逃げなさい。
いや、お逃げなさんな。
どこに逃げても同じことです。
みんな死んでしまうのですから。
どうしても生きたければ、本当の月に行くしかない。
月で、壊滅していく地球を眺めるのも大変オツなものです。
まあ、それも不可能でしょうな。月に行ったとて、何もないから、どうせすぐ死んでしまう。
あるいは、この際NASAかどこかの組織が、そんな計画を立てているのかもしれませんね。
月で、地球が落ち着くのを待つ。
そして再び帰ってきて、生き残った何人かが、アダムとイヴのように、新世界を作り上げる。
こうやって人類は同じことを繰り返し続けているのかもしれません。
まあ、どっちでもよろしい。
いずれにしても私たちは死ぬしかないでしょう。
ところで、恐竜が滅亡した時、コンパクトな哺乳類は生き残ったという。
明日、CDやスマートフォンがこの世界を支配しているかもしれませんよ。
2
そのようなことを私に話した男は去っていった。
しかし、それからいくら隕石を眺めても、私にはただの月にしか見えなかった。
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