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満月がかけた呪い
「新高教授はどうしてオオカミの研究をしているのですか?」
白衣に身を纏った学生たちが何の気なしに尋ねる。
「何でだと思う?」
この頃の俺はすっかり髪に白髪が混じるようになっていた。
「それは――」
30年前のあの夜。
目を醒ますと、“大神”は俺に血生臭い呪いをかけることはなく狂おしい程の恋の呪いだけかけ、その消息を経っていた。
まるであの満月の夜は白昼夢であったかのように。
「大好きな人を助けたいからだよ」
今日も俺は、この世界のどこかにいるであろう大神を探す旅へと出たのであった。
END
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