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鈴見の通う光華大学には哲学、電子工学、機械工学宇宙工学、宇宙科学などの分野がメインとなっている少し変わった大学である。数多くのサークルや部があるか中で鈴見は天体サークルに所属している。
鈴見自身が望んで入った訳ではなく、高校からの友人である東島輝に頼み込まれ仕方なく入部した。主な活動は天体観測をすることだが、実際の活動は山へのキャンプがメインである。
傾いた天体サークルの看板を戻す鈴見、硬いドアノブを力いっぱい回して部室の扉を開けると「おお、鈴見!遅いぞ」東島が鈴見に近寄り、冬のキャンプ申し込み表を突きつける。
「心月君も冬のキャンプ行くよね?」と明るい声で話しかけてきたのは北野ハル。鈴見と同じ大学一年で天文学を学んでいる。「冬はいいよね、空気が澄んで星が綺麗に見えるから、それをキャンプで楽しめるって最高だよね」
「そ、そうだよね!最高だよね!」北野に合わせるように口を開くのが、星崎竜馬。彼は械工学科を学んでいる同じ一年であるが、北野に気に入られようと必死さが多少なりとも出ていて、北野がいないところではかなり冷たい性格だ。「お前はどうするんだ」
「あぁ、申し訳ないが俺はパスで。ちょっと金欠になる予定ができてバイト多めにするから」
「おいおい、金欠予定とは聞き捨てならないな、それはもしかしてもしや」
「違うわ」東島の頭を軽くたたく鈴見。ベランダのパーテーションを壊して弁償代を貯めるためだと説明する。
「ふははははは」奥で、大声を出して笑っているのが高見健太郎。彼は機械工学科の3年生で先輩である。「真面目は心月がそんなドジするなんて面白いな」
「そんなかわいそうな君にはこれを使わせて・・・」
「あ、いけないバイトがあるの、忘れてた」北野が部室を出ていく。
「お疲れ様です」北野がいなくなったので帰る星崎。
「おいお前ら、俺の話は何も始まっていないぞ」寂しそうに話す高見。
「高見先輩の話、無駄に長いから仕方ないですよ」不満そうに言う東島。
「まあ、いい。心月、悲しがっているお前にこれを貸してやる」
棚からカエルの人形を2つ取り出す高見。
「なんですかこれ」
「よく聞いてくれた。名付けてケロケロ言いカエルだ!」
「先輩ダサいです」スマフォを見いじり始める東島。
「使い方は簡単だ、親機の電源を入れると子供の電源が入り、親機に話しかけるとその言葉が子機から流れるケロ」
「おじさんのケロは気持ち悪いです」東島の声冷たくなっていく。
「子機に話しかけると親機にその声が流れる優れモノだ!しかも5メートルぐらいの通信が可能!」
「ミジカ、てか、違法電波ですか?犯罪ですよ」
「違う!これはブルートゥースを内蔵した俺の手作りだからギリセーフのはずだ」
「いらないです。バイトあるんで帰ります」部室を出ていく鈴見。
「ま、まて、置いておくからいつでも使ってケロ」
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